2014年10月15日

JR西日本の電車が全部止まる。前代未聞の安全策。


フィリピンの東沖で発生した台風19号。2014年10月9日の時点では、中心気圧900hPa、瞬間最大風速が85m/sと、信じがたいほど勢力の強い台風だった。台風の名前は、ヴォンフォン。何だか荒れ狂う台風にピッタリな名前だ。

ヴォンフォン君のスペック。2014年10月9日時点。

フィリピンには過去に895hPaの台風が上陸したことがあり、想像しがたいほどの風と雨が吹き荒れている映像がテレビに映し出されていた。台風19号が似たような勢力だったためか、比較するようにフィリピンの台風を映像に映し出し、さも「物凄い台風がやってくるぞ」と視聴者を怖がらせるような意図も感じられた。

沖縄や九州の人たちは大変だったと思う。沖縄に到着した頃は、まだ勢力が910hPaとか920hPaぐらいで、猛烈という言葉は取れたものの、非常に強い状態だった。その後もズンズンと日本列島を制覇するかのように、東進して四国から近畿までやってきた。



確かに、勢力の強い台風だったけれども、JR西日本が想定外の対応策を発表した。2014年10月12日に、翌日13日の午後4時以降、京阪神地区の在来線全24線で全列車の運行を取りやめると発表。このニュースをネットで見たとき、「ん? えっ? 全部止めちゃうの?」と反射的に反応してしまった。

10月13日のJR西日本 路線マップ。赤い部分は電車が動いていないところ。

電車の本数を減らすとか、徐行運転するとか、そういう対策ならば想定内だけれども、一括で全部止めちゃうとなると、これは前代未聞。 私鉄の鉄道会社が自分のところの電車を運休させたぐらいならば、まぁ分かる。しかし、JR西日本の在来線が一斉に動かないとなると、にっちもさっちも行かない。

風が横から吹いて、走っている電車が横転したり脱線すると大変だから、もう一斉に止めちゃえ。そう考えたならば、確かに安全ではある。中途半端に、間引き運転したり、徐行運転するよりも、バサッと止めてしまったほうが安全で簡単だ。

とはいえ、何も全ての電車を運休させてしまう必要はなかったんじゃないか。そう思う人も少なからずいるようだ。

台風19号 JR西の「事前予告」運休に賛否…平日の対応に課題も (産経新聞) - Yahoo!ニュース台風19号 JR西の「事前予告」運休に賛否…平日の対応に課題も (産経新聞) - Yahoo!ニュース

私が思うに、今回は台風だけを想定して止めたのではないはず。台風19号だけを想定していたならば、運休はせず、間引き運転や徐行運転で対処したかもしれない。しかし、2014年の8月には広島で土砂災害、9月には各地で洪水、そして9月27日には御嶽山の噴火もあった。さらに、10月の1週目にも台風が来て、その1週間後に今回の台風19号がやってきた。

8月から10月まで、例年よりも自然災害が多いような印象を抱いている人もいるだろうし、特に9月27日の御嶽山の噴火は特にインパクトが強かったはず。そのため、災害に対して敏感になっている人が多く、本来ならばやらないような対策を実施した。それが今回のJR西日本の運休ではないかと思う。

テレビの台風情報もイヤラシイ部分があって、わざと台風の影響が大きい場所に行って報道するものだから、テレビの画面には常に強い風や雨が映し出され、「どえらい台風が来ている」と視聴者に感じさせるように報道してくる。しかし、実際に外に出て、どんなもんかいなと見てみると、大した風でも雨でもなく、自分で確かめてみないとテレビばかり観ていても分からない。


午後4時ごろは、確かにそれなりに風や雨は強かったけれども、電車を走らせられないほどのものではなかったし、淡路島ぐらいまで台風がやってきたときは、すでに965hPaぐらいまで弱っていた。

午後10時頃になると、もう風はおさまり、雨もパラパラ程度だったので、運行時間を後ろにずらして電車を動かしても良さそうに思えた。とはいえ、これは後から言っていることだから、実際は違ったものになっていた可能性もあるので、今回の対応はそれはそれで合理的だったのかもしれない。