2015年8月17日

見た目をデザインするのではなく、機能をデザインする。



ジョナサン・アイブ

デザインは見た目を飾るものではなく機能である。見た目だけ綺麗にしても、それはデザインじゃない。この指摘は正しい。

なぜここは丸いのか。なぜこのボタンはここに配置されたのか。このアイコンはなぜこんな形をしているのか。ただ何となくカッコイイという理由で決めるのではなく、機能の一部として活かされるからそのように決めた。それが理由になれば、それはデザインと言える。



Appleが作った代表作となったiPhoneとiPadだが、あの使い心地はデザインの賜物だと、実際に使っていて感じる。見た目がオシャレという点は確かにそうだが、なぜそのような見た目にしたのかを理由付けできる。それがiPhoneでありiPadでもある。

見た目を真似てスマホを作るメーカーもあるが、見た目だけを似せても良いスマホにはならない。ボタンの形、本体の大きさと形、スピーカーの位置、カメラレンズの位置など、モジュール化されていると、部品を寄せ集めるだけで似たような電子製品を作れるが、それは言わば「似て非なるもの」と言うべき。

機能がデザインになった身近な一例を挙げると、常に状態が良い芯の部分を使えるシャープペンシルがある。三菱のシャープペンシルで、クルトガという製品(http://www.mpuni.co.jp/products/mechanical_pencils/sharp_pen/kurutoga/standard.html)なのだが、このシャープペンシルは文字を書いていると芯が回転する仕組みになっている。

三菱鉛筆 シャープペン ユニ クルトガ スタンダードモデル 0.5mm ブラック


シャープペンシルなどもはや技術革新が起こらないような製品だと思っていた。100円程度で売られている鉛筆の代用品。その程度でしかなかった。学生の頃は、小学生の時からシャープペンシルを使い始め、それ以来、大学を卒業するまでシャープペンシルを使っていた。

卒業してからは、ずっと黒のボールペンが主な筆記用具で、芯を補充する必要がないし、文字の太さも一定だ。

今はほとんど使わないシャープペンシルだが、クルトガの仕組みは確かにデザインと言える。見た目を派手にするのがデザインだと思っていると、「ペンの内部にあるギアで芯を回転させる仕組みがなぜデザインなんだ?」と考えてしまうだろう。

クルトガの主な機能はペンの中に内蔵されているので、外からはただのシャープペンシルに見える。しかし、実際に使うと、そのデザインを体感することになる。

派手な見た目には欠けるものの、人の意識を妨げずに使える。それが「デザインは機能だ」と言う根本の部分なのだ。