2016年1月11日

ポイントカードを一本化する仕組みの作り方。


総務省 ポイントカード一本化を検討へ
http://www.news24.jp/articles/2016/01/05/04319033.html

 総務省は各種ポイントカードをマイナンバーカードに一本化できないか、検討を始めることにした。

 これは総務省の仕事始め式で高市総務相が指示したもの。カードを発行している企業や団体を結ぶシステムを立ち上げ、各種ポイントカードや銀行、図書館、商店街などのカードをマイナンバーカードに一本化しようというもので、来年春以降の実現を目指す。

 各企業はポイントカードのサービスで利用者の囲い込みを狙っているが、総務省幹部は「磁気カードからICチップ入りカードに移すための莫大(ばくだい)な投資を行わずに済む」と企業側にもメリットがあることを強調している。

以前からポイントカードが増えていく傾向に「どうにかならんものか」と思い、過去にブログにも書いたが、ポイントカードを一本化することそのものは良い。ただし、手段がマズイ。

あっちでポイントカード、こっちでポイントカード、そっちでポイントカードと、財布やパスケースの中にドンドンとポイントカードが入ってくるのが嫌で、何とかしてカードを1枚に集約できないのかとずっと考えているが、どこの業者もやってくれそうにない。

マイナンバーカードでポイントカードを一本化しようと検討しているみたいだが、その目的は良い。ポイントカードの枚数を減らしたい人は多いだろうし、1枚に集約できるならば万々歳だ。

しかし、目的を達成する手段としてあえてマイナンバーカードを使う必要があるのかどうか。数カ月前には、消費税を還付する手段としてマイナンバーカードを使おうとしていたし、今回はポイントカードを集約するために使おうとしている。

2016年1月6日時点で、マイナンバーカードを申請したのはたった320万人なので、「こりゃぁ、住基カードと同じ運命を辿るかもしれない」と危機感があるのかもしれないが、何だか無理にマイナンバーカードを使おうとしている感じが否めない。



「新しく作ったんだから、使わなくちゃ」という気持ちは分かるし、手に入れた道具を使っていたい気持ちも分かる。しかし、ポイントカードなどという Casual なものを、マイナンバーカードという Sensitive な道具で取り扱うのは納得しがたい。

国民全員をユニークキーで通番管理できるカードだから、ポイントカードを集約するにはうってつけだろうが、行政手続に使うという説明で作られたマイナンバーカードがこうも単純に民間利用されるようになっては、人が不信感を持つのも当然だろう。


あえてマイナンバーカードを使わず、何らかの共通カードを民間企業が作り出せばいい。とはいえ、楽天やCCCだと自社の利益があるので、共通カードを作りにくい。TカードやPontaカードなど、大手のポイントサービスが他のポイントサービスを吸収していくとなると、購買情報の取り扱いがネックになってネットワークが拡大しない。

消費者はポイントを目的としてポイントカードを使うが、企業側は購買情報を収集するためにポイントカードを使っている。そのため、他社のポイントカードネットワークに入るとなると、自社の購買情報が他社に漏洩する可能性があり、この点を嫌って他社のネットワークに入らず、自社でポイントカードを作ってしまっているのが今の現状。

とはいえ、何らかの集約サービスはあって欲しい。

例えば、Googleがポイントデータの集約サービスを作るのはどうか。都合がいいことに、Googleは小売がメインではないので、他社のデータを取り扱うことに関しては有利な立場である。小売業者が他の小売業者のデータを取得するとなると抵抗されるが、相手が小売業者でないならば抵抗を受けにくい。

AndroidスマホにはNFC機能(マイナンバーカードのICチップと同じ)があるので、ここにポイントカードデータを集約し、Googleのクラウドサーバーに送る。Googleアカウントに集めたポイントデータを紐つけるので、機種変更も容易。ここでのポイントは、スマホ本体にポイントデータを保存するのではなく、あくまでデータはGoogleのサーバーに置く。スマホはポイントデータを出し入れするための鍵として使う。

また、ポイントは各企業ごとにデータベース上で分離して管理されているので、ポイントを使うときはそれぞれ企業別にポイントを使える。企業Aのポイントはあくまで企業Aのポイントであって、何らかの共通ポイントに集約はされない。

1,NFC機能を搭載したスマホ。
2,Googleのポイント集約サービス。これはネット上のサービスとして展開。
3,NFCチップを読み取るICリーダー。これは小売店などに置く。

この3つを用意すれば、ポイントカードを一本化できるだろう。

カードを使うとなると、マイナンバーカードのように手段がマズイ場合があるし、他社のネットワークに参加するとなると、購買情報が漏洩する可能性や強引に共通ポイント(Tポイントなど)に集約されてしまう欠点がある。

今では、カードそのものが要らないポイントシステムが理想だろう。カードがなければポイントシステムは作れないと決めつけず、スマホがカード代わりになるようにすればいい。

マイナンバーカードではなく、自分のスマホでポイントを管理するならばユーザーも納得できるだろう。