2016年9月18日

20GB使えて6,000円。ケータイの大容量料金プランが格安に。どれを選ぶべき?





突如として発表された感がある大容量プランの格安化。iPhone 7の発売に合わせるように、大容量タイプの料金プランを大手通信会社が手直ししてきた。

最初がソフトバンクのギガモンスター、次がKDDIのスーパーデジラ、最後にドコモがウルトラパックを発表した。

大手通信会社の料金が割高なので、格安SIMへの乗り換えが増えているためか、新型iPhoneの発売を機に料金プランをテコ入れしてきたが、どう変わったのか、どの料金プランを選ぶのが良いのか。検討してみよう。






大容量プランに限定して値下げ。


docomo、au、SoftBankと3社あるが、共通するのは、20GBプランと30GBプランが新設され、8GB以上のプランが廃止された点。

各社とも5GBプランは月額5,000円で、20GBプランになると月額6,000円になる。

5GBプランは、1GBあたり1,000円だが、20GBプランになると1GBあたり300円とガクンと単価が安くなる。

しかも、料金の差は1,000円なので、5GBプランと20GBプランで1,000円しか差がないとなると、20GBプランを選ぶ人が増えるだろう。

1GBや3GB、5GBの低容量プランは従来の料金水準を維持して、大容量プランでは1GB当たり単価を下げて(1GBあたり300円程度になっている)格安SIMと競争する。なかなかよく考えた妙手だ。

大手通信会社の料金と比較して、いかに格安SIMが安いかをアピールするのがMVNOにとって常套手段で、「大手通信会社の料金は高い。格安SIMは安い」というイメージが定着しつつある。

そのため、大手通信会社としては、何らかの手段で切り返さないといけないが、今回のように大容量プランに限定して1GB単位あたりの料金を下げるのは良い方法。


<ドコモの料金プラン例>

データSパック(2GB):3,500円(1GBあたり1,750円)
データMパック(5GB):5,000円(1GBあたり1000円)
ウルトラデータLパック(20GB):6,000円(1GBあたり300円)
ウルトラデータLLパック(30GB):8,000円(1GBあたり267円)

シェアパック5:6,500円(1GBあたり1,300円)
シェアパック10:9,500円(1GBあたり950円)
シェアパック15:12,500円(1GBあたり833円)
ウルトラシェアパック50:16,000円(1GBあたり320円)
ウルトラシェアパック100:25,000円(1GBあたり250円)

ウルトラデータLパックになると、急に1GBあたり300円まで下がるので、大容量プランを値下げして、小容量を据え置いたのがよく分かる。

この中で最もオトクなのは、ウルトラデータLパック。月々サポートやキャンペーンを組み合わせて、このプランをいかにして組み込むかが利用者にとって今後の料金プラン構築の要になる。




20GBプランが主力メニューになる。


auの料金プランの場合、LTEフラットが月額5,700円で、月間7GBまで高速通信を使える。一方、データ定額20(月間20GBまで高速で通信できる)は、月額6,000円。

両者の料金差である300円を追加して、容量が13GBもプラスされるのだから、利用者にとっては悪くない。スマートバリューも適用できるし、毎月割もあるので、「格安SIMに乗り換えずにauにしちゃうか」と判断しても不思議じゃない。

今後は、データ定額20がメインプランになっていくので、もうコレ以外のプランを選ぶ人は少なくなる。あえてLTEフラットを選ぶのもアリ(通話を利用しない人なら)ではあるが、ネットも電話も使うならば、「スーパーカケホ + データ定額20」の組み合わせで決まりだ。

小容量(データ定額1から3)プランを選ぶか、それともデータ定額20か。プランを選ぶならば、このどちらかに今後は集約されていく。

20GBもあれば、1ヶ月分のモバイル通信としてはまず足りる。特殊な通信をする人は除くが、ネットなり、SNSなり、動画程度ならば、月20GBでまず大丈夫だろう。

私の場合、docomoのデータSパックで2GB、mineoの3GBプランの回線が3本あるので、月間11GBまで使えるものの、4回線も組み合わせているのに、20GBプランよりも枠が少ない。

ただ、データ定額8,10、13を契約していた人の気持ちを考えると、今までのプランは何だったのかと感じる。「こんなに安くなるんだったら、もっと早く変えてくれたらよかったのに」と言いたくなるが、まぁ時代の流れが付いてくるまでには時間がかかるもの。






テザリングが別料金に。


テザリング機能を利用するにはオプション料が必要だが、今回の新プランではテザリングを利用するために月額1,000円の追加料金が必要になる。

ドコモはテザリング料金は必要無かったが、今回の変更で月1,000円が必要になったし、auもテザリングは月500円だったものが月1,000円に変わったし、ソフトバンクも同様。

auのテザリングオプションは月額500円とウェブサイトでも書かれているので、月額1,000円の対象となるプランとその他を分けていくのか、それとも今後は月額1,000円に一本化するのかはまだ不明。低容量プランではオプション料は500円。大容量プランではオプション料は1,000円とプランごとに分ける可能性が高そう。


ソフトバンクがギガモンスタープランを発表したときは、テザリング料金 1,000円が必要だと説明していたが、その後にKDDIが料金プランを発表すると、auでもテザリング料金は必要なもののキャンペーンで無料化すると発表。その後、ソフトバンクもKDDIの発表内容に追随し、テザリング料金は当面不要になった。

ドコモは最後にプランを発表したが、今までドコモの場合はテザリングは追加料金無しだったものの、今回のプラン発表を機に、テザリングには別途で月額1,000円が必要になった。ただし、2018年の3月末までは無料とのこと。テザリングは利用料金内に含まれているというのがドコモの分かりやすさだったが、ドコモも今後はオプション扱いにするのか。





かけ放題1,700円プランとの組み合わせOK。


大容量プランを先に発表したのはSoftBankだったが、発表当時は、基本プランは月額2,700円のスマ放題を選ばないといけなかった。その後、auがプランを発表し、月額1,700円のスーパーカケホとデータ定額20の組み合わせが可能だったため、他の通信会社も通話定額のライトプランとの組み合わせが可能になった。

1回5分の通話だと人によっては「時間が短いんじゃないか?」と思うかもしれないが、通話していると、想像しているよりも5分は長い(長電話したなと思っても2分程度)。用件を伝える電話ならば、まず5分もかからない。友人と取り留めのない長電話するならば5分を超えるだろうが、仕事で電話したり、家族に用事を伝えたりという用途ならば、5分を超えない。

そのため、レギューラータイプのかけ放題プラン(月額2,700円)については、単独契約が可能な通信会社(docomoとSoftBankは可。auは不可)があるものの、月額1,700円のライトプランだと何らかのデータプランと組み合わせて契約しないといけないようになっている。

通話明細を見れば、1回あたり5分を超えている通話はほとんど無いはず。仕事で長電話する人、友人との通話が長い人など、特殊な利用をしている場合を除き、大多数の人は、通話時間は1回5分を超えていないはず。

となると、現実的にはレギューラープランの月額2,700円のかけ放題でなく、月額1,700円のライトプランでも十分。だから、本当はカケホーダイライトなどのプランだけを通話用に契約したいが、それだと通信会社は儲からないので、データプランとセットにするわけだ。



20GBをどうやって使い切るか。


単独回線で月20GB使い切れるならば、特に気にする点は無い。

問題は、使い切れない場合にどうするかという点。テザリングを利用しても、月20GBとなると完全に使い切るのはちょっと難しい。

私は現状で合計11GBを1ヶ月で使えるけれども、テザリングは毎日のように使っているし、ビデオ見放題サービスもモバイル回線で利用するが、全ての枠を使い切るのに苦労するぐらい。集中してビデオを観るというような使い方、リモートアクセスなど、大容量のデータを消費する使い方をしない限り、テザリングでジャブジャブと使ってもまず枯渇しない。


ここまで大容量になると、固定回線を解約して、モバイル回線を主回線に変えてしまう人も出てくる(ADSL回線よりはLTEの方が快適だろう)。WiMAXシングルのような無制限な通信はできないが、20GBもあれば、それに近い使い方ができる。

他には、複数回線とシェアして使い切るのもアリ。

ドコモならば、2台目プラスがあるので、2台で20GBを分け合える。3台以上になると、データパックではなくシェアパックを選ばないといけないので、20GBプランを選択できない。

データパックでシェアできるのは2回線まで。シェアパックならば3本以上の回線で1本の回線をシェアできる。これがドコモの料金プランの特徴。

2人もしくは1人で使うならば、2台目プラスを利用して、月々サポートも2回線分を合算させて、ウルトラデータLパック20GBを選択するのが良い。データMパックは月額5,000円なのに5GBまでしか使えないので、今後はやはり20GBプランが主力になっていくだろう。


20GBプランで6,000円。通話定額のライトプランで1,700円。さらにネット接続オプションで300円。合計8,000円が大手通信会社の料金になる。ここから毎月の割引、キャンペーンをどれだけ取り込めるか。ここが利用者の考えどころだ。



1500円を追加すると、データ容量が10倍に。

時間をかけて、何度か考えてみたが、やはり20GBプランはお得だと言わざるをえない。

例えば、ドコモのスマホを使っている場合で計算してみよう。

カケホーダイ + データSパック

2,700円 + 3,500円 + 300円(SPモード) = 6,500円。
月間2GBまで高速通信を利用でき、電話はかけ放題。これで月額は6,500円だ。

カケホーダイライト + ウルトラデータLパック

1,700円 + 6,000円 + 300円 = 8,000円。
月間20GBまで高速通信を利用でき、電話は1回5分まで定額料金。これで月額は8,000円。

料金の差は1,500円。データ枠の差は、2GBと20GBだから、10倍だ。

18GB相当のデータ枠を1,500円で買っていると考えると、1GBあたり83円だ。格安SIMでも、1GBプランならば500円程度だし、大容量プランを選択しても1GBあたり250円程度だ。そう考えると、1GBあたり83円でデータ枠を購入できるウルトラデータLパックは、やはりオトクなのだ。

格安SIMが大手通信会社にプレッシャーをかけてくれたおかげで、これだけ料金が安くなるのは、利用者にとって嬉しい。