2016年12月15日

想定外に便利だった。摩耶ケーブルの展望台まで一気に行ける直通のバス。


11月も後半になり、秋も終わりかけているので、例年だと紅葉を見に京都に行くところだが、もう何度も京都には行ったので、今年は行き先を変えて摩耶ケーブルに乗って展望台に行ってみることにした。

http://koberope.jp/

確か2009年から、秋になると京都に行っていて、嵐山はもう7回(秋以外のシーズンも含む)ほど行った。東山方面は確か3回。京都の紅葉と言えば、嵐山か東山、この二択になる傾向があって、7回なり3回も行けば、ある程度知ったかぶりができるぐらいにはなる。

そのため、今回は京都ではなく、まだ行ったことがない摩耶ケーブルの方へ行くことに決めた。

意外と思うところだが、大阪と京都は行き来しやすいのだけれども、なぜか大阪と神戸は近いようで遠いという感じがする。距離では京都よりも神戸のほうが近いはずだが、なぜか神戸は遠い。心理的な距離感なのか、何の距離感なのか、言葉では説明しにくいけれども、要するに遠い感じがする。

摩耶ケーブル 星の駅展望台から。見えるのは大阪方面。


そんな遠い神戸だが、大阪駅から阪急神戸線に乗れば、すぐに行ける。もちろんJR神戸線でもOK。今回は阪急電車で行くことにした。

始発の大阪駅(阪急では「梅田駅」と表現する)から乗るので、やはり一番早い特急を選んだ。ちなみに、大阪駅は阪急京都線の始点でもあり、嵐山に行くならば、ここから特急に乗って桂駅まで行けるし、そこから乗り換えれば阪急嵐山駅までは10分程度。

特急は六甲駅には止まらず、手前の駅である岡本駅で降りないといけない。「岡本、、岡本駅、、人の名前だな」と思いつつ、頭の中では岡本太郎のことを思い浮かべていた。岡本太郎と言えば太陽の塔。太陽の塔と言えば、万博記念公園。大阪の人間ならば、ササッとこういう連想ができる。

1970年の大阪万博のために作られた塔で、その頃はまだ私は生まれていなかったし、大阪万博がいかほどのものかも知らなかった。そもそも、何のために万博なんてやるのかも小さい頃は分からなかった。日本で初開催された国際博覧会が大阪万博で、さぞ盛り上がったことだろうと想像できる。

2016年の今だったら、スマホで検索したり、動画を観たり、さらにはテレビで中継があったりと、現地に行かずともアレヤコレヤと知れる。しかし、1970年なんて、スマホなんてなかったし、パソコンだってまだなかった頃(プログラム電卓というものがあったぐらい)。

あの太陽の塔、確か小学生の頃、遠足で万博記念公園に行って、初めて目で見た時に、なぜが大笑いしたのを覚えている。小学5年だったか6年だったか、理由は分からないが、無性に面白くて、笑いが止まらなかった。別におかしな造りだからとか、ヘンな塔だとか、そういう感覚ではなく、無意味に笑いがこみ上げてきた。

何であんなに笑ったのか、今でも意味不明だけれども、まぁそれだけ自分にとってインパクトがったんだろうと思う。


岡本駅だけで妙に話が膨らんだが、話を戻すと、岡本駅でまず降りて、次にやってきた各駅停車の電車に乗って六甲駅まで移動した。

事前に調べたところによると、阪急六甲の駅からバスで摩耶ケーブルの下にある駅まで行けるらしいと知っていたので、「駅に着いたらバス停を探さないとな」と思っていた。



神戸市バスの18系統に乗れば、阪急六甲から摩耶ケーブル下のバス停まで行けると事前に摩耶ケーブルのウェブサイトで調べておいたが、ウロウロしても18系統のバス停が見つからない。

時間は15時54分。日も暮れてきて、気温も下がり、随分と肌寒い。当日は11月26日で、もうそろそろ秋も終盤という時期。寒いのは当たり前だ。

六甲駅から出たのが、阪急神戸線の踏切がある場所、駅の東側だった。歩道橋のような階段を降りていくと、バス停はあったものの、摩耶ケーブルに向かうバスじゃない。さほど大きい駅じゃないから、バス停なんてすぐに見つかるだろうと思っていたものの、何だかバス停がいくつもある。

18系統のバスは、六甲駅前のビルの前、六甲駅の正面入口のところに来るようになっていて、摩耶ケーブルの展望台から阪急六甲駅に帰ってきたときにそれを知った。この18系統のバスに乗れば、摩耶ケーブル下のバス停まで行ける。

「ん? 帰ってきたときに知った? じゃあ、どうやって摩耶ケーブルまで行ったの?」と思うところだが、駅の東側でバス停を探していると、踏切の近くに止まっていたバス行き先を示す電光掲示板を観ると、「摩耶ロープウェー山上駅」と表示されている。それをパッと見て、「あぁ、あのバスにのれば摩耶ケーブルのところまで行けるんだろう」と判断し、バスに乗り込んだ。

「でも、何だかちょっと違う。摩耶ケーブル下ならば分かるが、摩耶ロープウェー山上駅と表示されているぞ」と少し不安感を抱きつつも、行き先は同じだろうから、そのまま乗って行こうと決めた。

平地を進むのかと思いきや、バスは山の方へ向かっていく。地図で見ると、摩耶ケーブルまでは平地の道路を走って行けるのだが、乗ったバスは摩耶ロープウェー山上駅行き。山上と書いているのだから、山の上まで行く。だから、当然ながら、山道を進む。

まぁ、頭ではそうだと分かっていても、初めて来た場所なものだから、何だか不安。予想外の山道で、右へ、左へハンドルを切っていく。バスがウーン、ウーンとエンジンを唸らせて、山道を登り、エンジンの排気ガスなのか、車内に匂ってくる。

普段からバスに乗っていないと、バスの乗車システムに混乱する。入口で整理券を取るバスもあれば、大阪市営バスや京都市営バスのように均一料金で乗れるものもある。


摩耶ロープウェー山上駅|路線バス|阪急バス

私が乗ったのは、阪急バスの摩耶ロープウェー山上駅行きのもの。阪急六甲駅を16時に出発し、山上駅に着いたのは、16時53分。駅から直通で行くと、53分で行けるわけだ。バスに乗って、ケーブルカー、ロープウェーと乗り継いでいけば、おそらくそれと同等か、それ以上の時間がかかるだろうから、直通バスに乗った判断はやはり正しかった。

さて、阪急バスの入口にはICカードを読み取る機械があり、Suicaも対応している。以前、東京駅100周年記念Suicaを購入し、今でも使っているが、JR以外のバス、鉄道でも使えるのが便利。京阪電車はもちろん、阪急電車、さらに今回のように阪急バスでも使えるので、Suicaカードを買って正解だった。

バスの入口でピピッとSuicaを読ませると、どこから乗ったかが記録される。そして、降りる段階で料金箱に備え付けられているICカードリーダーにピピッとすれば精算される。ただし、阪急バスでSuicaを利用できるが、バス内でチャージはできないので、事前にチャージしておく必要がある。


http://www.hanshin-bus.co.jp/ic-card/

阪急のhanicaならばバスの中でもチャージできるらしいが、Suicaなどはダメ。大阪のICOCAもチャージ不可。

バスの運賃は、阪急六甲駅から摩耶ロープウェー山上駅まで乗って930円。930円以上の残高があれば問題ない。

阪急六甲からバスで摩耶ケーブル下まで行き、そこからケーブルカーとロープウェーで展望台まで行けば、バス代が300円ほど、ケーブルカーとロープウェーの運賃が片道で770円だから、ほぼ同じ程度。

駅から展望台のところまで直行で行けるのだから、むしろ私が駅からバスに乗ったのは正解だった。18系統のバスに乗れば、ケーブルカーとロープウェーに乗る時間がかかったところ、それらをすっ飛ばして一気に頂上まで行けたのだから、偶然にも選択は正しかった。


駅を出ると、まず山に登っていき、東の方へ行ったあと、来た道を戻り、その後で西の方、麻耶山の方へ向かう。

先に東の六甲山の方へ行き、六甲山ロープウェー駅、六甲山ホテル、六甲山天覧台にも寄ったか。東側をグルっと回っていき、最初に来たところに戻っていく。その後は、神戸市自然の家を通って、摩耶ロープウェー山上駅、掬星台まで行く。

摩耶ロープウェー山上駅と駅と名乗っているものの、実態はこじんまりとしたバス停。バスを降りると、すぐ目の前が展望台なので、バス停から展望台までは徒歩15秒もあれば到着する。

到着直後の掬星台。16時53分。11月後半なので、この時間でも暗くなり始めている。
ロープウェーの駅。星の駅と言う。17時の段階では行列はできていない。

星の駅の2階にはカフェがあり、飲み物やおでんが販売されている。お店の中で食事ができるので寒い時期はありがたい。料金は特に高いというほどではなく、駅前の飲食店ぐらいのもの(要するに通常価格)。こういう場所で飲食すると割高(観光地価格)になるというイメージがあるが、摩耶ロープウェーのカフェは違う。

展望台は2箇所あり、どちらからでも夜景は見える。方角は南から南東方面で、ポートアイランド、神戸空港、あとは六甲アイランドは良く見える。神戸ハーバーランドのMOSAICの文字も双眼鏡を使うと見える(肉眼では小さくて見えにくいが)。

麻耶山からポートアイランドの夜景。ポートアイランドの奥には神戸空港が見える。


カバンに双眼鏡を入れて持っていったので、遠くの景色までよく見えた。もし摩耶ケーブルで夜景を見に行くならば、遠くを見れる双眼鏡の類を持っていくことをオススメする。もちろん、直に目で見ても十分にキレイなのだけれども、見え方に変化が生まれるので、望遠鏡なり双眼鏡を持参するといい。

右側がポートアイランドと三宮方面。左側の奥が六甲アイランド。遠くに線のように光が見えるが、大阪湾を隔ててあちらは大阪。

100円とか200円をチャリンと入れて見えるようになる望遠鏡のようなものは設置されていないので、マイ望遠鏡を持参しないと遠くは見えない。

双眼鏡を使えば、海遊館の周辺、さらに観覧車もハッキリと見え、遠く南の方を見れば関西空港も見れる。


展望台から大阪方面を見た夜景。人間のシルエット越しの夜景もいい。

こちらも大阪方面の夜景。


土曜日の夜だったから、人が多いかと思ったが、思ったよりは多くはなかった。展望台もメチャメチャに混み合うというほどではなく、余裕をもって立てるぐらいのスペースはあった。

当然ながら山の上なので、11月の後半となると寒い。コートやジャケット(フード付きがオススメ)はもちろん必要で、さらに手袋もあるといい。

六甲アイランドもキレイに見える。

さて、夜景を見たあとは下界に帰らないといけないが、ここで問題が発生する。展望台までは直通バスで来たので並んだりはしなかったが、帰りはロープウェーとケーブルカーに乗らないといけない。

到着した17時頃は、ロープウェー乗り場は混雑していなかったけれども、私が帰ろうとした時間、18時過ぎには乗り場に長蛇の列ができていた。

来るときにはロープウェーに乗っていないので、星の駅で片道のチケットを購入。料金は片道で880円。ただ、お金を払ったからといってすぐに乗れないのが悩ましいところ。

夜景を目的に来る人はそれなりにいるようで、展望台は混雑していると表現するほどじゃなかったけれども、ケーブルカーとロープウェーは運搬能力が高くないので、17時10分頃からずっとピストン運行を続けていた。本来ならば20分間隔で動かすらしいが、混雑してくると、乗せて行ってを繰り返すピストン運行に切り替える。

18時過ぎに列に並んで、ロープウェーに乗れたのは18時40分頃、約30分ぐらい待った。

ロープウェーは確か定員25名で、例えるならば通勤ラッシュの電車ぐらいの混雑感。行列はざっと80人ぐらいは並んでいたから、25人ずつ運搬するとなると、やはり30分ぐらいの待ち時間は仕方ないか。

ロープウェーとケーブルカーの片道セット券。ちぎるのではなく、受付印を押す。右の青いスタンプが星の駅で押されるもの。左の黒いスタンプは虹の駅で押されるもの。


星の駅から下って虹の駅に付くと、さらに今度はケーブルカーに乗らないといけない。このケーブルカー、ロープウェーの定員の2倍ほどで、ロープウェー2回分の人を運搬できる。

運搬能力に差があると、厄介なことが起こる。ロープウェーで下り、虹の駅でケーブルカーに乗り込んだものの、一向に出発しない。入口のドアは空いたままで、ピクリとも動かない。「もう乗り込んだんだから動かせばいいのに」と思っていたのだが、何かを待っている雰囲気。

暫く待っていると、人がドヤドヤと乗り込んできた。「あぁ、ロープウェーで次の便に乗った人も一緒に運ぶわけね」とそこで気づいた。でも、待てよ。せっかく先の便に乗っても、次の便を待たないといけないとなると、早く行っても下の駅に到着する時間は変わらないわけか。

2便分で1セットにして、ケーブルカーで運ぶ。つまり、ロープウェーが2往復すると、ケーブルカーは1往復するわけだ。比率は2:1。

となると、後の便の人は、先の便の人が虹の駅で待ってくれているのだから、何だかお得な感じだ。一方、先に虹の駅に行った人は、ケーブルカーの入口を開けっ放しにされて、寒いまま待たされる。まぁ、人生とはこういうものだよ、諸君。


これで一段落とおもいきや、まだ問題は続く。ケーブルカーを降りると、今度は駅までのバスに乗る人がいるわけだが、これまた混雑する。

ケーブルカーから降りた人が目の前にあるバス停に並ぶので、バスは満員状態になる。通勤でもないのに、何だかあんなに混雑したバスに乗るのはイヤ。

ここで登場するのが便利なスマホ。困ったときのスマホと言ってもいいほど、こういう時に役立つ。まず冷静に、Google Mapを立ち上げ、自分の現在地を確認。摩耶ケーブル駅にいるので、そこから阪急電車の六甲駅までの位置と距離を推測。距離はおよそ1.5kmほど。

「よし、これぐらいの距離ならば歩いてもしれているな」と判断し、歩いて駅まで行くことにした。ケーブル駅からあるきだしてすぐに気付いたが、駅の方向への道は下り坂になっていて、歩いていても快適。「あぁ、そうか。今、自分は山の上にいるわけだから、駅に向かうとなれば下り坂になるのか」と歩いて気付く。

摩耶ケーブルに行くまでは上り坂になるが、帰りはその逆になるわけだ。これは偶然の産物だ。これならバスに乗らなくても苦ではない。

下り坂をズンズンと歩いて、大通りに出る。この大通りを歩いて東へ向かえば、阪急六甲駅まではだいたい15分程度。歩いている途中で、高級車を道の左に停めて、高級スーパーであるいかりスーパーに入っていくオバサマを見たが、いかにも神戸な雰囲気を醸し出していた。

六甲登山口の交差点を右に曲がり、阪急六甲駅が見えてくると、「やっと帰れる」と安堵した。帰りは駅の正面から入ったので、18系統のバスのりばがハッキリと見えた。来たときはここまで見ずに、摩耶ケーブル山上駅行きのバスにホイッと乗ってしまったが、駅の正面の方に行けば、摩耶ケーブル下まで行くバスに乗れるので、展望台に行く人はこちらからバスに乗ってもいい。

とはいえ、山上駅まで直通で運んでくれるラクチンさを重視すれば、私が乗った掬星台への直通バスで行くのもいい。

寒くなるほど空が澄んでくるので、これを書いているのがすでに12月中旬なので、寒くても夜景を見たい人は、摩耶ケーブルに乗って展望台まで行って、写真じゃなく、自分の目で夜景を見てみるといい。

年末年始と元旦に特別運行があるので、これを狙って行くのもアリ。ちなみに、元旦は朝の6時から営業しているとのこと。「朝6時に行けるのか?」と思うところだが、12月31日から1月1日にかけては鉄道が終日運転となって、午前2時とか午前4時など、普段ならば電車が動いていない時間でも動いている。だから、朝6時でも摩耶ケーブルに乗れるわけだ。