2016年7月30日
何を今更。ケータイ販売に介入する公取委。
スマホ販売 違法例示す 独禁法巡り指針
分割払いの総額指定や中古流通制限 公取委、参入阻む慣行是正
今更このような介入をするのは、いくらなんでも遅すぎるだろう。
スマホ本体を割賦で販売し、毎月の料金を割り引きし、本体価格をグッと高く設定しておく。つまり、端末価格を高くしておくことで、毎月の割引を相殺するようにする。
こうすれば、消費者は、「毎月の割引があるから、本体代はタダみたいなもの」と錯覚する。一方、通信会社は、市場価格よりも高い価格で端末を販売し、毎月の割引による影響を減殺されるようにして利益が減りにくいようにする。
端末と通信サービスをセットで販売する手法はもう20年以上も続いてきたし、上記のようなカラクリでケータイを売る手法もずっと続いてきた。
例えば、SIMフリー版を買えば、5万円で手に入るスマホでも、通信会社経由で契約すると8万円のスマホに化ける。
この場合、両者のギャップは3万円だが、これを2年間の割引で相殺するようにシミュレーションする。
3万円 ÷ 24ヶ月 = 1,250円/月。1ヶ月あたり1,250円の割引を付ければ、実質価格は5万円に変わる。
8万円のスマホを5万円で購入できてお得だと思えてしまうが、実際は通常価格である5万円で買っただけ。この傾向は、大手通信会社の中で、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルで強い。一方、auブランドのKDDIは少しマージンを乗せているものの、端末の販売価格は他社に比べて妥当な水準になっている。
分割で支払いをさせて、割引を適用し、さもお得であるかのように見せかけるのが大手通信会社の販売手法。最近始まったことではなく、20年以上も前から連綿として続いている。
このように書いていると、さも消費者は損をしているように思えるが、ケータイは買い方を工夫すれば、超がつくほどお得になることがあるし、大損することもある。
スマホ関連の費用を節約したい人は、まずスマホ本体にはお金を使わないこと。7万円も9万円もする高価な品物だが、ここでお金を使っていては、節約など到底無理だ。
ハイテク機器は安い。どこかの会社の誰かさんが言っていたことだが、IT関連の機器、スマホだけでなくタブレット、あとはルーターなどは製造費用が安い。しかも、使っている内蔵部品は汎用品が多いので、この点でもさらに製造費用を下げる。
最近はあまり見かけなくなったが、「一括0円」でスマホが販売されることがあるが、こういう物を買うのがまず大事。ここで注意すべきは、0円であっても「実質0円」は一括0円とは全く別物だという点。
ケータイショップに行くと、店舗の窓ガラスに「スマホ本体0円」という類のポップが貼られているのを見かけるが、あれは「実質0円」を意味していることがほとんど。まれに「一括0円」という意味で掲示されていることがあるが、それは稀。
実質0円と一括0円の違いは何なのかというと、前者は定価販売、後者は0円販売、シンプルに説明すればこうなる。
実質0円と表示されていても、スマホ本体は定価で販売される。毎月の通信料金から割引され、その割引額がスマホの本体代に相当するので、"実質的に"0円と表記している。ゆえに、「実質0円は定価販売と同じ」と考えるのが正しい。
一方、一括0円でスマホが販売されていれば、これは本当に0円と考えていい。本体価格そのものが0円として扱われるので、分割払いにする必要はないし、借金も負わない。
3年ほど前、2013年までは、隨分と積極的な営業が行われ、スマホ本体が一括0円になり、さらに毎月の割引があり、その上キャッシュバックまであるという、消費者にとっては「三つの特典」が用意されていた。
本体を0円にして、毎月の割引も付けたら、通信料金はほとんどタダのようなものになるし、その上キャッシュバックまで付けたら、もう完全に赤字だ。
もちろん、誰しもが三つの特典を手に入れられるわけではなく、スマホを契約する時期、契約する形態(キャリアを乗り換えてMNPで契約する必要がある)、どこのお店で契約するか、これらを考えてスマホを契約するかどうかで、数万円、場合によっては10万円以上の費用差が生じる。
片や8万円でiPhoneを買い、片や0円でiPhoneを貰う。スマホを購入する段階ですでに8万円も差がある(利は元にあり)。これが契約者間の不公平なのだが、買い方を工夫すればお得になるのだから、そうすればいいだけであって、「新機種が発売されたらすぐに買う」ような人は高いおカネを支払うのは当然だ。
本体代金、毎月の料金、割引、その他の特典など、色々と考える点が多いため、これを面倒だと感じ嫌がる人は格安SIMを利用するのが良い。料金と内容がシンプルで、考える余地が少ないため、妥当な通信料金でスマホを使いたい人にはオススメだ。
大手通信会社の販売方法は確かに複雑で面倒な点が多いが、料金プランやキャンペーンを理解して上手に立ち回れば、格安SIMよりもお得になるケースもある。
何かと不満を抱かれがちなケータイの販売手法だが、必ずしも消費者にとって不利益とは限らないので、公取委が介入して是正することにはハッキリと賛成しにくいところ。