ワタミが上場初の赤字、居酒屋はもう限界か
http://president.jp/articles/-/12643
乾杯のとき、いまどきの若者には「とりあえずビール」は通用しません。博報堂の「若者研究所」では、約100人の大学生に研究員を務めてもらっています。調査の打ち上げで、私が「まずはビール」と全員分の飲み物を注文しようとすると、空気がざわつきます。理由を尋ねると、「どうして他人の飲み物を勝手に決めちゃうんですか」と憮然とした表情でいわれました。
いち早く乾杯をしようと、率先して動くのは「意識が高い」「イタイ」として、若者には嫌われます。時間がかかっても、それぞれに注文を確認するのが、彼らのやり方。これは若者の酒離れの一因になっているはずです。
若者は、アルコールのなかでも、特にビールを飲まなくなっています。飲酒には「なれ」の要素がありますが、特にビールはそれが顕著ではないでしょうか。私は初めてビールを飲んだとき、「うまい」よりも「苦い」と感じたことをよく覚えています。宴席などで繰り返し飲むうちに、独特の風味の虜になりました。
酒類全般についても同じことがいえます。かつては酒の味をおぼえる前に、半ば強制的に飲まされることがありました。いまは飲みたくない人に強要することはありません。ましてや未成年の飲酒は御法度です。大学のサークルでも、1年生が多い「新歓コンパ」は居酒屋ではなく、カフェなどに場所を移し始めています。居酒屋側も、全員に身分証明書を提示させるなど、未成年の飲酒を厳しく取り締まるようになりました。以前にはあった居酒屋との接触機会が失われているのです。
「なんで他人の分まで注文するんですか?」
分かる、分かる。ビールを飲みたいわけじゃないのに、店に着いて、席に座ると、いきなり全員分の生中を注文する人。大人数でお店に行くと、そういう人がいます。本人は良かれと思って注文しているのですけれども、ビールを飲みたくない人には不評。
例えば、12人が参加する飲み会で、ドヤドヤとお店に入って席に着くと、「とりあえず生中(生ビールの中サイズ)12個」みたいな感じで全員分の生中を注文する。そんな光景は不思議なものではなかったのですが、2014年の今ではもう当たり前じゃなくなりつつあるのかもしれない。