Amazonのオンラインストレージサービス
USBメモリーが活躍する場面がグッと減り、オンラインストレージを利用するのが当たり前になったが、どこのサービスを利用するかで悩む人も多いはず。
DropboxやGoogle Drive、iCloudなど、有名どころのサービスも多々あり、どれを使っても快適なのだが、さらなる選択肢としてAmazonのクラウドストレージもある。
Amazon Driveという名称のサービスで、料金が安く、さらに容量は無制限と、なかなか魅力的。
私も、Amazon Driveを使っており、ポータブルHDDやSSDに入ったデータを全部クラウドに移動させてスペースを空けようとしているところ。容量無制限なのだから、ローカル側のデータを全部移動させてもいいわけだから、やっちゃおうかと。
ところが、このAmazonのクラウドストレージ、良いところばかりではなく、欠点もある。料金は安いし、容量無制限で使えるオンラインストレージは数少ないので、この2点では確かに魅力がある。
しかし、実際に使ってみると、、、。
料金やスペックを見ているだけでは分からないものがあって、実際に使って経験してみて知ったことなので紹介しておこう。
まずは良いところから書いていこう。
Amazon.co.jpではなく、Amazon.com経由で利用しよう。
まず料金のお話から。おかしなことだが、日本版のAmazon Driveと本家アメリカのAmazon.comのDriveでは料金が違う。
「同じサービスなのだから、同じ料金だろう」と思いたくなるのだが、実際は違うのだ。
Amazon Driveは月額制ではなく年額制のサービスなので、1年分の料金を一括で支払うスタイル。これはAmazonプライムでも同じなので、「まぁ、いつもの通りか」と感じるところ。
日本だと、Amazon Driveの料金は、年間で13,800円。月あたりだと1,000円ちょっとになる。
一方、アメリカAmazon.com経由でAmazon Driveを利用した場合は、年間で$59.99。1ドル100円で計算すると、約6,000円。
Amazon.co.jp経由だと13,800円。Amazon.com経由だと6,000円になるわけだ。つまり、本家アメリカのサービスを利用すれば、料金は半額になるということ。
「えーっ! 2倍も違うの?」と感じてしまうが、これは事実なのだ。
というわけで、Amazon Driveを使いたい人は、Amazon.comでアカウントを作り、そのアカウント経由でDriveを使いましょう。
容量無制限は嬉しい。
100GBで月300円。1TBで月800円というように、他社のサービスだと容量別にメニューが分かれているが、Amazonのメニューは1つだけ。無制限、それだけだ。外付けのポータブルHDDやSSDのデータを全てAmazon Driveに入れてしまえば、HDDもSSDも空になるので再利用ができる。中のデータもブラウザー経由で見れるので、外付けディスクよりも視認性は向上する。
もちろん、容量制限のあるサービスでもいいし、Amazon Drive以外にDropboxも使っているので、どちらにも良いところがある。
賢い人ならば、「容量無制限なのだから、Amazon Driveに一本化すれば?」と思うだろうが、それが簡単にできないんだな、これが。
なぜ簡単にできないかというと、Amazon.comのDriveを使っているというのが理由。
Amazon.com側のDriveを使っている場合、PC用のアプリやスマホ用のアプリを利用できないのだ。「ん? どういうこと?」と思うだろうが、日本でアプリ(PC用、スマホ用)をダウンロード、インストールすると、Amazon.co.jpのサーバーに接続するようにアプリが組まれていて、Amazon.com側のサーバーには接続できない仕様になっている。
なんとかAmazon.comのアカウントに接続しようと、スマホの言語設定をEnglishに変更して、その後にアプリをインストールしたのだが、それでも接続先はAmazon.co.jpになってしまう。
そのため、Amazon Driveを利用する場合は、Google Chromeなどのブラウザー経由でアップロードすることになる。
ブラウザー経由でも不便は無いが、アプリ経由で利用するよりも利便性は少し劣る。ちなみに、スマホでもブラウザー経由でDriveを利用できるので、アプリが無くてもまぁ大丈夫。
転送速度が遅い。遅すぎるほど遅い。
この点は、Amazon Driveの最大の欠点と言っていい。ファイルなりフォルダーのデータをアップロードするとき、初速はまあまあなのだが、大きいファイル、100MB以上ぐらいになると、非常に転送速度が遅くなる。
1ファイル2MBぐらいのデータを小刻みにアップロードする程度ならば、速度の遅さは気にならない。しかし、1ファイルで100MBとか300MBあるようなビデオファイルや、1フォルダーに10,000個ぐらいのファイルが詰まっているものをアップロードする場合には、途中でグングンと転送速度が落ちる。
Macのアクティビティモニターを見ながらアップロードすれば良く分かる。アップロードを開始した直後はそれなりの速度で転送するのだが、数分すると、極端にアップロード速度が落ちるようになり、毎秒31KBとか17KBのように激遅に。
料金が格安で、容量が無制限である一方で、転送速度が遅い。確かに、これで転送速度までサクサクだとさすがに無理があるだろうな。
料金と容量で利点があり、その一方で、アップロード速度が遅いという代償があるわけだ。
1GBのファイルをアップロードしようと思えば、おそらく1時間ぐらいはかかるんじゃないか。となると、500GBをアップロードするには500時間。何だか気が遠くなる。
この手のオンラインストレージサービスで容量を無制限にすると、40TBとか、110TBとか、言語道断なほどのデータをアップロードする人がいるようで、そういう人たちを排除するにはやはりアップロード速度を制限するのが妥当な対処策なのだろうか。
普通に使う人には支障があるほどではないので、この程度の転送速度ならば納得できると思う。
もしかして、アメリカ側のAmazon Driveを利用しているから転送速度が遅いという可能性もある。AWSでも、サーバーのリージョンが分けられているし、Amazon Driveでもリージョンが違っていて、それが転送速度に影響している可能性もなくはない。
マメに、小刻みにバックアップを取っていくには最適なサービスだし、USBメモリーやHDDで手元に保管するよりは、二段階認証で守られたAmazon Driveの方が遥かに安全だ。
まだオンラインストレージを利用していない方は、Amazon.comのAmazon Drive(日本版じゃないよ)も選択肢に入れてみてはいかがだろうか。
(2017年2月28日 追記)
アップロード速度が遅いと書いたが、その後、使っていて、大きいサイズのフォルダーをドカンとアップロードすると、毎秒3MBぐらいでデータが送られるようになった。もともとこれぐらい早かったのか、以前はたまたま遅かっただけなのか。理由は分からないが、毎秒3MBぐらいの速度ならば満足できるので、遅い遅いと書いた部分は撤回したい。