2014年7月19日

梅田地下街の串かつ「松葉」 いつも油臭い場所だった。



老舗串カツ「松葉」、ぶらり横丁…さらば「庶民の味」「青春の味」 大阪駅前地下道の飲食店街、拡幅工事で立ち退き迫る
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140710/wlf14071012180010-n1.htm


 JR大阪駅と阪神百貨店の間を走る「大阪駅前地下道」(大阪市北区)にのれんを掲げ、終戦直後から庶民に親しまれてきた飲食店街が姿を消そうとしている。大阪市の地下道拡幅工事に伴い、9月末までの立ち退きを求められているからだ。拡幅後は営業スペースもなくなるため、移転先のめどが立たない店主らは反発。常連客からは「青春の味がなくなるのか」と惜しむ声が上がる。 
 「退去まであと数カ月。従業員の生活もあるのに、どうすればいいのか」
 駅前地下道で昭和23年から開業している老舗の串カツ店「松葉」。2代目社長、内田洋介さん(35)の表情は暗い。 
 立ち飲み型の同店は、仕事帰りのサラリーマンに愛されてきた。混雑時はカウンターに向かって体を斜めにしないと、スペースを確保できないほど。客が斜めに構えるその光景は往年のコーラスグループの立ち位置にちなみ、ダークダックス・スタイルと呼ばれた。 
 大阪府泉大津市の堤那智雄さん(75)は学生時代からのファン。当時の梅田には、安い値段で飲み食いできる串カツ店がこの店くらいしかなかったという。立ち退きの話を聞いて「50年以上前から変わらない『青春の味』なのに。なくなるのは寂しいが、これも時代の流れなのか」と残念がった。


大阪駅の下には迷宮のような地下街が広がっている。一度でも行ってみた人ならば分かるが、あれだけの店が乱立し、通路があちらこちらに延び、人が蠢いている地下街も珍しいだろう。

しかも、地下なので、いつ行っても何だか息苦しい。中途半端な蒸し暑さ、中途半端な湿度、そして澱んだ空気。これが大阪 梅田の地下街。店と言っても1つだけでなく、何十ものお店があり、靴を売っていれば、喫茶店もあり、串カツ店まである。



大阪で串カツというと、天王寺の通天閣周りにある串カツ点が有名。あの周辺は新世界と言われている地域で、なぜ新世界なのか、大阪人の私も知らない。どこがどう新しいのか分からないし、どこらへんまでが世界なのかも分からない。世界は1つなのに、大阪のあの場所だけがなぜか新しい世界になっているというのも不思議な感じだが、まぁああいう感じが大阪らしいといえば大阪らしい。

串かつは家でも作れるので、あえて外で食べることはないけれども、梅田の地下街にある串カツ店ならばよく知っている。とはいえ、知っているといっても実際にお店に行って、串かつを食べたわけじゃないから、「梅田の地下街のあそこら辺にあった串カツ屋だな」というぐらいの記憶だ。

上記のウェブサイトでは写真が掲載されているが、写真を見て「あぁ、そうそう。こんな感じの店だった」と思い出すぐらいのお店。地下街にある階段のすぐ近くに店舗を構えている串かつ屋で、あの前を通るといつも油臭いニオイが漂っていた。

立ち食いの串かつで、さらに大阪伝統の「ソースの二度漬け禁止」、しかしキャベツでソースを掬ってカツにかけるのはセーフになる。スーツを来たサラリーマンのおっちゃんが生ビールの中ジョッキを飲みながら、揚げたての串かつを食べる。まさにオトコの串かつ屋という雰囲気だった。

私もオトコなので、あの場所を通るたびに、「あぁ、串かつかぁ、、。美味しそうだ」と思いつつ、ついに一度も食べること無くお店がなくなろうとしている。

「食べてみればいいじゃないか」と思うかもしれないが、お店の写真を見てみるといい。立ち食いで、串かつで、暖簾がかかっている。さらにお客は男性ばかり。近づきにくい要素が満点だ。女性が入れないのはもちろん、男性であってもあの雰囲気の中に入り込んで串かつを食べるには勇気がいる。

地下道を拡幅するために工事をするので、工事現場の周辺にある店舗は立ち退く必要がある。そのため、この串かつ屋 松葉も無くなる予定らしい。梅田の周辺は、もう何年もズーッと工事が行われていて、こっちの工事が終わったらあっち、あっちが終わったらそっちというように、いつもどこかで工事が行われているような場所。

まだ梅田の北にある貨物列車が停まっていた場所も開発が終わっていないし、「梅田=いつも工事」というイメージが消えるのはまだ先のような気がする。

昭和23年から営業しているので、もう70年近くの年月になる。私が生まれるよりも遥か前からあそこで営業しているのだから、確かに老舗だ。古いお店ほど美味しいのが飲食店の傾向で、この串かつ屋もその1つかもしれない。

居酒屋でもチョイ飲みというスタイルが流行っているようで、このチョイ飲みの先駆けのような串かつ屋で、実際に食べたことはないけれども、あの油臭さは今でも思い出せるほど。とはいえ、2014年の7月時点ではまだ店はあるし、営業もしているようなので、まだ思い出の彼方に追いやるほどではないかもしれない。