2014年7月16日

SIMロック解除は必要ない。


突然の“携帯キャリア締め付け”は、総務省のアップルつぶしだった?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140714-00032725-playboyz-bus_all#!bfgiUf


総務省による有識者会合「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(ワーキンググループ)」の第7回会合で示された中間取りまとめ案に、「店頭でのケータイ・スマホ販売にもクーリングオフ導入を」「キャリアはSIMロック解除に応じることが適当」といった内容が盛り込まれたのだ。

契約から一定期間なら消費者が契約を解除できるクーリングオフが導入されると、「端末購入時に現金で○万円キャッシュバック(以下、CB)」という売り方が成り立たなくなる。加えて、SIMロックが解除されれば、キャリア乗り換えの際に端末を買い換える必要がなくなるので、現在の「月々の割引+2年縛り」という販売方法が困難になる。つまり、今のケータイ販売システムが根本から崩れるのだ。

大手キャリアを締め付けることで、ケータイやスマホ販売の歪(ゆが)んだ現状が正されると評価する向きがある一方、ほかの意図を指摘する声もある。前出の有識者会議のメンバーとも親交がある業界紙記者のB氏が語る。


このニュースの内容で気になるのは、利用者の視点が欠けている点。供給者の都合で話が進められていて、最も気にすべき利用者の気持ちは蚊帳の外になっている。

誰のためにSIMロックを解除するのか。その答えは?



利用者のためにSIMロックを解除するならば良い。しかし、実際は通信キャリアの都合やApple締め出しのために解除するならば、それは有害無益になる。

2014年時点では、もはやSIMロックを解除するメリットは無く、必要ならばリーズナブルなSIMフリー端末をネットで購入できるし、MVNO回線を使う選択肢もある。


今取り組むべきは、MVNOの選択肢を増やすこと。docomoのMVNOサービスはもう十分にある。KDDIのMVNOはmineoだけなので、もっとメニューを拡張する必要がある。SoftBankモバイルは、まだMVNOサービスがないので、早く開始するべき。

リーズナブルな回線を使いたい人はMVNOを選択し、タップリ使いたい人はキャリアの回線を使う。このように使い分けするのが賢い判断。

解約してもMVNOのSIMがあれば以前の端末を使い続けられる。そのため、SIMロックを解除しなくても、古いスマホを使い続けることはできる。



◯アップルの影響力を抑制すること

何のためにそんなことをするのか。アップルに嫌がらせをすれば、iPhoneやiPadをを手に入れにくくなるだろう。これは利用者の視点が欠けていると分かる一文。



◯キャリアはiPhoneを売っても儲(もう)からないんですよ

この指摘は間違い。もし、iPhoneを売っても儲からないならば、「iPhoneしか売っていないんじゃないか?」と思えるほどのSoftBankモバイルがなぜ儲かっているのか説明がつかない。

最も上手にiPhoneを売っているのがSoftBankモバイルで、料金プラン、解約金でガチガチに利用者を動けなくして、半ば強制的に2年間にわたって自社回線を利用してもらうようにしている。そのため、iPhoneを販売しても、キチンとプラスの利益を得られる。

一方、NTT docomoとKDDIはちょっと甘い売り方をしていて、わざとなのか知らずなのか、赤字になるような売り方をしているときがよくある。一括0円でキャシュバックとか、基本料金無料で2年間の料金がほぼセロの状態で使えるなど。

販売関連の費用+その他通信設備などの費用 < 端末販売からの利益+通信料からの利益+解約金など
この状態になっているならば、高額なキャッシュバックであってもOK。

しかし、
販売関連の費用+その他通信設備などの費用 > 端末販売からの利益+通信料からの利益+解約金など
この場合は、赤字になる。

SoftBankの場合は、端末一括0円やキャッシュバックなどを用意した場合には高額な解約金を設定し、赤字の状態にならないように計算している。



◯今の日本のスマホ関連産業は、アップルに“アゴで使われている”と言っても過言ではないのです

アゴで使われているのではなく、アップルに支えられていると表現するのが適切。iPhoneが売れれば、関連商品やサービスが売れる。ケース、修理サービス、モバイルバッテリー、アプリなど、iOSに規格が統一されているから、製品を複線化する必要がないので、サードパーティ メーカーにもありがたい。



◯『キャリアを変えても使えるiPhone』として人気になるかもしれません

すでに大手3キャリアからiPhoneが発売されている状況で、キャリアを変えて使える必要はない。これはトンチンカンな指摘。SIMロックを解除せずとも、使いたいキャリアが販売しているiPhoneを買えばいいだけ。

キャリアを変えたければ、MNPで端末と回線をセットで変えてしまえばそれで済む。

さらに、リーズナブルにスマホを使いたいならば、MVNO回線もある。

日本でもSIMフリー版のiPhoneが販売されるようになったので、これを利用する手もある。

故に、SIMロックを解除して『キャリアを変えても使えるiPhone』を手に入れる必要はない。



◯国産勢にもう一度日を当てるにはどうすればいいのか? その答えが『脱・iPhone依存』であり、今回のクーリングオフ、SIMロック解除なのでしょう

iPhoneを使うかどうかを決めるのは、供給者側ではなく顧客。メーカーや省庁主導で脱・iPhoneを進めるのではなく、顧客がiPhoneにそっぽを向くかどうかで決まる。

現状ではその傾向は無い。

iPhoneに依存している方が楽だし、便利だし、周辺業者も利益を得られる。スマホを作っているメーカーは苦しいかもしれないが、iPhoneを使っている利用者はiPhone以外のスマホをあえて使いたいとは思いにくい。

ただ、クーリングオフ制度は良いと思う。説明をキチンと受けずに、Wi-Fiルーターを抱き合わせて販売したり、デジタルフォトフレームをセット販売したり、他にもmicroSDなどのオプション品を無断で割賦購入させたりした場合にはクーリングオフできるようになるならば、これは良い仕組みだろう。



◯今はスマホ市場で圧倒的に不利な状況に置かれている国産スマホメーカーも、アップルの一極支配が終われば、まだ復活の目があるかもしれない。そのなかから国産の優れたサービスが誕生してほしいという期待もある

他者に嫌がらせをしても自分たちは浮上しない。なぜ国産スマホが受け入れられないか。それはiPhoneを使えば分かる。

iPhoneが無くなっても、国産スマホは売れるようにはならない。「アイツの成績が悪くなれば、俺達の成績が良くなる」これと同じぐらいヘンなことで、相手を貶めても自分の状況は良くならない。むしろ、スマホ市場にマイナスの影響が出て、さらに国産スマホが売れなくなる可能性のほうが高いと思う。

アップルに嫌がらせををして、魅力に乏しいスマホを強引に売られても、お客さんは迷惑だろう。

不利な状況になったのは、魅力に乏しいスマホを作り続けたからであって、アップルを批難するのではなく、そういうスマホを作ってしまった自らのセンスを批難するといい。



業界紙の記者ではなく、ケータイ番長にでもインタビューすればもっとマシなコメントを得られるんじゃないだろうか。

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