2014年7月10日

誰のためのSIMロック解除?



日本市場が標的に…迫る中韓勢、格安スマホに便乗 総務省が後押し?
http://www.iza.ne.jp/topics/economy/economy-2681-m.html


 SIMを解除した「SIMフリー端末」は「格安スマホ」の普及にも欠かせない。格安スマホは、端末代金と通信料金を組み合わせて月額1000~3000円程度のサービスが急増。当初は、動画の視聴などには使えない低速なデータ通信や型落ちと呼ばれる旧モデルなど安さ優先でサービス水準は我慢が必要だったが、ここへ来て仮想移動通信事業者(MVNO)など提供会社が増えている。音声はもちろん高速データ通信サービス「LTE」など、大手事業者が提供するサービスとそれほど遜色(そんしよく)のない「格安スマホ」も登場してきた。

 ( - 中略 - )

 一方、携帯大手3社はいずれもSIMロックの解除に反対の立場だ。ドコモはアンドロイド搭載スマホはSIMフリーにしているものの、最大の売れ筋であるアイフォーンはSIMロックをかけたまま販売している。KDDIは「通信規格が他社と違うのでやっても意味がない」(田中孝司社長)とわれ関せず。ソフトバンクはアンドロイド搭載スマホでも「3、4機種だけ対応している」(幹部)が、アイフォーンと他のアンドロイド搭載スマホはSIMフリー化するつもりはないようだ。

 
 SIMロック解除に腰の重い大手3社は「ニーズがない」と声をそろえる。確かに大手3社は基本的な料金体系こそ、データ通信料や定額通話料も横並びだが、さまざまな独自のコンテンツサービスで差別化を競っている。補助金による2年縛りの端末実質0円など割引制度も多く、顧客囲い込みにあの手この手を使っている。これらのサービスを使えないSIMフリー端末のニーズは限られているというわけだ。

 しかも、アイフォーンのSIMロックが解除されると、年間数百万台の販売台数をコミットしている大手3社にとって、アイフォーンによる顧客囲い込みが不可能になり、大量在庫を余儀なくされる恐怖がある。

 しかし、総務省はからめ手で攻める。端末のSIMフリー化と同時に取り組んでいる携帯電話販売へのクーリングオフ(一定期間内なら無条件に返却できる制度)導入によって、販売店に増えると予想される端末在庫。SIMフリー化によって、その端末が売りやすくなるというわけだ。同省は来年の国会に制度改正案を提出したい考え。説明不足による販売トラブルを防ぐ一方、余った端末を流通しやすいSIMロック解除の義務化。この両面作戦で、携帯電話市場に新たな競争を生み出し、格安スマホ普及の道筋をつけたいと考えているようだ。


 ケータイのSIMロックを解除するように総務省が動いているようですが、誰のためにSIMロックを解除するのかが分からなくなっています。

 おそらく、利用者の利便性や選択肢を増やすためにSIMロックを解除するように流れを作っているのでしょうが、むしろ顧客にとってはありがたくない結果になる可能性もあります。

 SIMロック解除に意味が無いかというとそうでもない。端末を購入した通信会社以外のネットワークも使えるという点は確かに利用者にはメリットがある。しかし、いかんせん時期が遅すぎた。

 もっと早く、2010年ごろに、iPhoneのSIMロックが解除される可能性があったならばこの話題は盛り上がったかもしれないが、すでにスマホは普及して、SIMフリー端末も手に入れやすくなった2014年の現在では、もうSIMロックを解除しなくても利用者は困らない。

 海外でケータイを使うならば、SIMフリー端末を別途で購入して持ち出せばよいし、他者の通信回線を使いたいならば、MNPで乗り換えて使えばいい。SIMフリー端末は高価というイメージがあったけれども、検索してみると、手頃なSIMフリー端末が販売されていて、必ずしも高価とは言えない状況になった。

 スマホの中身はアカウントに紐付けられているので、アカウントを端末に設定すれば、内容が同期され、端末を入れ替えても同じ環境を作り上げることができる。そのため、普段から自分が使っている端末のロックを解除してSIMフリーにしなくても、SIMフリー機を購入してアカウントをリンクさせれば、すぐに使いはじめることができる。

 『SIMロック解除に腰の重い大手3社は「ニーズがない」と声をそろえる。』と書かれているが、これは事実だと思う。iPhoneについても、すでに日本でSIMフリーのiPhoneが販売されているので、iPhoneのSIMロックを解除する必要もない。

 『アイフォーンのSIMロックが解除されると、年間数百万台の販売台数をコミットしている大手3社にとって、アイフォーンによる顧客囲い込みが不可能になり、大量在庫を余儀なくされる恐怖がある。』という指摘は的外れで、すでにSIMフリーのiPhoneが販売されており、iPhoneのSIMロックを解除する必要はない。


 この状況で、どの端末のSIMロックを解除するつもりなのか。

 おそらく、通信会社は、「SIMロックを解除するならば端末価格が上昇する」、「料金の割り引きを減らさないといけない」と言って、端末価格や通信料金をいわば人質にして抵抗するはずだ。

 あえてSIMロックを解除してくれなくても、KDDIが回線貸出サービスを始めてさらにMVNO回線も充実してきたし、ソフトバンクモバイルもMVNOサービスをいずれ提供するはずだから、総務省があえて介入してSIMロックを解除させなくても利用者にとっては差し支えない。

 『端末のSIMフリー化と同時に取り組んでいる携帯電話販売へのクーリングオフ(一定期間内なら無条件に返却できる制度)導入によって、販売店に増えると予想される端末在庫。SIMフリー化によって、その端末が売りやすくなるというわけだ。』という部分も、SIMフリー化するならば、通信会社は販売奨励金を減らす行動に出るので、むしろ端末を売りにくくなる。 

 7万円や8万円もするような端末を一括払いで買う人は多くないはず。実質0円や一括0円で敷居を低くしてケータイを契約させるのが今の状況だから、単品でケータイを買わせるように仕向けても上手くいかないだろう。