謎のアイテム テンポドロップ。 |
テンポドロップ、別名ストームグラスとも言うらしく、19世紀のヨーロッパで航海時に天候予測器として使われていたらしい。2015年の今ならば、気象庁があるし、毎日、ニュース番組では天気予報が付き物だし、ネットでも簡単に天気を調べられる。だから、あえてテンポドロップなどという得体の知れない天気予測器を使わなくても現代人は何の問題も無い。
おそらく、テンポドロップなんて知らない、ストームグラスなんて聞いたことない、そんな人も大勢いるはず。天気なんて簡単に調べられるから、こういう古典的な道具が出てくる隙なんてもう無いのかもしれない。
化学薬品の液の中に樟脳が入っていて、白く見えるのが樟脳の結晶。この樟脳の結晶状態を見て、天気を予測するらしいが、どのように結晶化すれば、どのような天気になるのか、この肝心な情報が説明書に書かれていないので、初めてテンポドロップを手にした人は使い方が分からないだろう。
これが説明書らしきもの。 |
長々と書かれているが、結晶状態と天候の対応関係については記述がない。 |
歴史的経緯についてはやけにウンチクが多くて、英国では、航海時には、ロバート・フィッツロイ提督がナントカカントカ、海底2万マイルがどうのこうのと、テンポドロップの歴史については延々と書かれている。しかし、どのように結晶化したら、どんな天候になるのか。最も重要であると思われる結晶化と天候の対応関係については言及が無い。
結晶状態と天候を結び付けられないと、使い方が分からなくても仕方ない。天候を予測する道具なのだから、どのように見れば、天気を予測できるのか。ここは説明として最低限必要だと思うが、それがないのが不思議な感じ。
かれこれ1ヶ月ほど部屋において見ているが、大雑把な天気予報ならできそうな感じはする。例えば、グラス内の白い結晶が増えたときは、数日後に天気が崩れる。逆に、白い結晶が少なくなったときは、数日後には天気が良くなっていく。これがテンポドロップの利用法なのだと思う。
この白い結晶の多さで天気を予測する。 |
2、3日後の天気がザックリと分かる。これがストームグラスの機能らしい。今では、天気予報がチョットでも外れれば、「あの天気予報はダメだ」、「あの気象予報士はイイカゲンだ」と散々な言われようなのだが、昔はこんなにも大雑把だったのか。
どのような作用で結晶の状態が変化するのか。気温や気圧、大気中の電位変化で結晶状態が変わるらしいが、液体の中でフワフワと浮遊している白い結晶がそんな意味のある結晶化をするなんて、何だか信じがたいじゃないか。「信じる者は救われる」という類のものではないかとも思えてしまう。
水滴型のデザイン。 |
説明書に使い方、見方が書かれていないのはやっぱりヘン。どういう結晶状態だと、どういう天気になるのか。コレぐらいは説明が必要。歴史的なウンチクも良いけれども、人が最も知りたいことを書かずにゴマカしてもダメなものはダメ。
結晶が増えると数日後に天気が崩れる。結晶が減ると天気が良くなっていく。実際に部屋に置いて1ヶ月ほど見ていれば徐々に分かってくるけれども、肝心なところの説明はやっぱり説明書に書いておくべき。
天気を予報するにはあまりに大雑把で悠長なシロモノなので、インテリアとして置いておくのがメインになる。水を使ったインテリアならば多種多様にあるので、その中の1つとしてテンポドロップを位置づけるならば、まぁアリかもしれない。
心にゆとりがある人、大雑把さや悠長さを受け入れる器量のある人。そういう人は実際に使って経験してみるといいかもしれない。
テンポ ドロップ TP-01