2016年6月14日

Apple WatchにSIMカードを入れたい? そりゃあ、無理だ。




iPhoneとセットで使うように設計されているApple Watchだが、このApple WatchにSIMカードを入れれば単独でLTE接続できると考えている人もいるだろう。

確かに、SIMを入れれば、認証してモバイルネットワークに接続できるだろうが、あの小さい本体にSIMを入れるという発想がもう間違っているんじゃないか。SIMカードを受け入れる余裕があのApple Watchにあるかといえば、無い。

ネットワークに接続するにはSIMカードが必須というのが常識なのだけれども、この常識を破らないと、Apple Watchを単独でネットワークに接続するのはムリだろう。


SIMカードのサイズはドンドンと小さくなっていき、今ではnanoサイズまである。ノーマルサイズのSIM、micro SIM、さらにnano SIMと、小さくなってきたが、nano SIMなんて、ICチップの部分ギリギリまでそぎ落としている状態。もうこれ以上は小さくできない。

となると、SIMカードを使わずに、利用者認証を通過し、モバイルネットワークに接続するための方法が必要になる。では、どうやってそれを実現するか。




docomoのポータブルSIMという製品が2014年にドコモから発表されたが、あの仕組みを応用すれば、物理的なカードを使わず、SIM情報だけをやり取りできる。

https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/lecture/portable_sim/
ポータブルSIM | 企業情報 | NTTドコモ

このポータブルSIMというのは、SIM認証機能だけを外部化した機器。どういうことかというと、本来だと、SIM認証をするためには、スマホやタブレットにSIMカードを入れて、LTEでネットワークに接続する必要があった。つまり、通信機器とSIMをセットにしていないと、SIM認証はできなかったわけ。

しかし、ポータブルSIMを使うと、言うなれば、SIMカードだけを分離して取り扱える状態になり、複数のスマホやタブレット、それこそApple Watchのような機器までSIM認証できるようになる。SIMカードを挿入していない端末であっても、モバイルネットワークにダイレクトに接続できるというわけだ。

認証ができるということは、モバイルネットワークに接続できるということなのだから、Apple Watchも単独でLTE接続できる可能性があるわけだ。


ただ、このポータブルSIM、仕組みは革新的なのだが、専用端末を使っているところが不便なポイント。

SIMをポータブル化する機能をスマホに搭載すれば、Apple WatchをiPhoneとペアリングする段階で、Apple WatchのSIM認証もできるんじゃないか。

複数台で同時に同じ番号の回線を使えないようにロックする機能があるのが厄介だが、この点を何とかクリアして、スマホ経由でSIM認証を済ませて、Apple Watchが単独でネットワークに接続できるようにすれば、利便性は向上する。

このように、スマホ側の回線で認証を済ませるようにできれば、Apple WatchにSIMカードを入れる必要はない。

もう今以上にSIMカードを小さくできないとなると、SIMカードを使わない方法で認証を通過する方法を考えないといけない。

カードという物理媒体を使わず、ソフトウェアを使った方法でSIM認証できるようになれば、スマホやタブレットにもSIMカードを入れる必要がなくなるだろう。