2016年6月9日

自前で災害用に備蓄するからうまくいかない。大手小売業者と契約する方が安全。


http://www.yomiuri.co.jp/national/20160607-OYT1T50150.html
災害備蓄「食料3日分」は21自治体…読売調査



自前で備蓄すると、すぐに限界が来る。


なぜか自治体は、災害対策のために自前で備蓄する傾向がある。地震などの災害が起これば、確かに色々と物が不足して困るので、備蓄することそのものは有益ではある。しかし、その方法が良くない。

備蓄するとなると、すぐに必要ない物を購入しなければいけないし、それを保管する場所も必要になる。

実際に災害が起これば備蓄は役に立つが、災害が起こらないのにワンサカと物を抱え込んでも、役には立たない。さらに、備蓄品を保管する場所を用意するとなると、スペースコストが必要になる。スペースが狭ければ、当然ながら備蓄する物量も少なくならざるをえない。

食料を備蓄するとなると、一定期間が経過すると、賞味期限切れになる問題もある。この点については、食料の賞味期限が近くなれば、放出して販売すればなんとかなるが。


すぐに使わない物を抱え込まないといけない。そして、それを保管する場所が必要。この2点で自前の備蓄には限界がある。






モノを抱え込まず、権利を抱え込む。


使わないモノを抱え込まず、さらに保管するスペースも要らない。そういう方法がある。

それは、大手の小売業者と予め契約しておくことだ。

例えば、イオンやイトーヨーカドーのような業者と、災害時には優先的に品物を回してもらうように契約しておく。さらに、品物の価格も予め決めておき、災害でも価格が変動しないようにしておく。

金融で例えるならば、オプション取り引きと同じだ。何をいくらで買うのか、という権利を買っておく(少しばかりのオプション料は必要かもしれないが)。そうすれば、使わないモノをワンサカと買い込んで備蓄する必要はないし、保管するスペースも要らない。つまり、業者が持っている在庫なり購買ネットワークを備蓄として使うわけだ。

大手ならば小売店舗をチェーン展開し、全国に分散しているので、仮に一部の地域で災害が起こっても、他の店舗からフォローを入れてもらい品物を集められる。もし、地方自治体が自前で備蓄していれば、自分たちが保持している備蓄がなくなればそれで終わりだ。




備蓄を権利化、分散化してより確実に物資を供給できるように。


時前で物資を集めて備蓄しようとするから、問題を解決できないのだ。市町村や都道府県が用意できる備蓄スペースなんてごく僅かだし、ニュースのようにせいぜい3日程度の備蓄しかできない。

物資を備蓄せず、物資を調達する権利を備蓄しておく。金融業界ならこの手の発想が得意な人が多いだろう。「この商品をこの価格で購入する権利」これも備蓄として考えて良いんじゃないか。

社会は分業で成り立っているので、自分だけで解決しようとすると、どうしても限界にぶち当たる。

小売業者のネットワークを災害時の備蓄として織り込むことで、スケールアウト可能な災害対応ができるようにしたほうがいいだろう。