2014年11月15日

男性専用車両はなぜ無いのか。


電車には女性専用車両がある。2014年現在では、これはもう当たり前になった。何年前か、10年ぐらい前ぐらいは、ラッシュ時だけ女性専用の車両が設定されるだけだったが、今では終日で女性専用の車両が設けられている。

電車内では、痴漢事件や痴漢の冤罪事件が起こるので、女性専用車両には利点があるのだろう。じゃあ女性は全て専用車両に乗っているのかというと、そうでもない。女性専用車両が空いているにもかかわらず、一般車両に乗る女性は多々いる。専用車両が空いていても、そこには乗らず、他の一般車両に乗る。その方が人が少なくむしろ快適そうな感じがする。

ところで、女性専用車両はあるものの、男性専用車両を見たことは一度もない。12両ある電車の車両に1両の女性専用車両があるだけで、他の11両は一般車両で、どこにも男性専用の車両はない。男性と女性を離せば痴漢は発生しないならば、男性専用車両を設けると女性と男性を分けられるので、この方法でも痴漢を防げるはず。にもかかわらず、男性専用の車両はない。



まぁ、痴漢で被害を受けるのは女性が多いだろうから、女性側に専用車両を設けるのが通常の発想だろう。ただ、男性専用車両を設けても似たような効果が発揮できそうにも思える。

全ての車両を男性用と女性用に分けるという発想もあるにはあるけれども、男女が一緒に行動する際に面倒になる。例えば、家族連れ。オトーサンとオニーチャンは男性用車両に乗り、オカーサンとオネーチャンは女性専用車両にと、それぞれ分かれて乗らないといけないとなると厄介だ。トイレやオフロと同じだと考えれば電車の車両を分けるのもアリかもしれないが、何となく抵抗感がある。

他にも、低年齢の子供をどうするかという問題もある。「子供は一緒でいいじゃないか」と思えるが、じゃあ何歳までOKなのかという次の問題が生じてくる。銭湯でも、小さい子供の場合は、男の子が女性用に入れるし、女の子が男性用に入ることもできる(暗黙の了解の下に)。ただ、何歳までという具体的な基準はなく、幼稚園や保育園児までなのか、小学校低学年までなのか、曖昧な状況になっている。

性別で利用者を分けると、ナンダカンダと面倒臭い。だから、女性専用車両のみを設定し、さらに車両数も1つだけに限定することで妥協しているのが現実なのかもしれない。

痴漢は混雑時に発生するのだから、混雑を解消すれば痴漢も減る。ならば、通勤ラッシュや帰宅ラッシュを減らせば、痴漢も減るということ。この2つを解消するのが根本的な痴漢の解決策になる。

フレックスタイム制で出勤時間をズラすとか、出勤時間や退勤時間をいくつかの選択肢から選べるようにするとか、他には、ETCみたいにラッシュ時の運賃を引き上げ閑散時の運賃を下げて鉄道サービスに対する需要をコントロールするか。

2014年現在は、時間帯や時期で運賃は変わらず固定で、ラッシュ時であろうと、お客さんが少ない時であろうと運賃は同じ。これをサービスの需要に応じてコンピューターアルゴリズムで変動するようにさせ、需要が多い時は運賃が上昇し、需要が少ない時は運賃が安くなるようにすれば混雑も緩和できそう。為替や株価などと同じような変動制にして混雑を減らす。

ただ、思うのはカンタンだけれども、実際にシステムを作るとなると、これは難しい。例えば、電車に乗ろうと思っていたら、突如として運賃がアップしたらイヤな感じだ。アップするといっても、3分後とか5分後にアップするのではなく、3時間後とか5時間後ぐらいだろうけれども、コロコロと変えていると、目的地に着くまでどれだけの運賃が必要なのかを予測しにくくなる。

「あと3時間早ければ、1,070円トクだったのに、、」、「おっ! 590円安くなったゼ」と、損したと感じる人や得したと感じる人が出てきて、これも不満のタネになりそう。

もし、需要に応じた価格設定を実施する場合は、せめて1日前までに価格をアナウンスメントしておかないと、利用者が費用を予測しにくくなる。

他にも、運賃を弾力的に変更するならば、切符の販売機を電子的に制御する仕組みが必要だし、改札ゲートも弾力的に設定を変更できるようなものじゃないといけない。

まぁ、痴漢対策でここまでするかというと、なかなか微妙なところ。やはり、女性専用車両を設定しておくだけにするか、それとも、痴漢対策だけにとどまらず通勤ラッシュを解消するところまで取り組むか。選択肢は色々ある。