ナンダカンダと「その4」まで引き伸ばしておきながら、まだ話が終わらない嵐山の旅。いやいや、旅と表現するのは大袈裟で、大阪から1時間30分程度で行ける場所なのだから、旅というよりも、散策というか、散歩というか、ぶらり歩きというか、そういう気軽なものと考えるべきかもしれない。
直指庵は大覚寺から北の方角にある。ここまで来ると、阪急嵐山駅からは随分と遠く、さすがに歩いてきている人はあまりいないはず。私のように自転車で来るか、私が帰るときにはタクシーでこの直指庵まで来ている人もいた。さすがにバスはここまでは来れないはず。周りは田んぼだらけの場所で、道は狭いし、乗用車が1台通れるぐらいの道幅しかないので、大きなバスがズズズッと入り込む隙はない。
直指庵までの案内看板もあるにはあるのだけれども、何ともシンプルと言うか、素っ気ないというか、他の事に気持ちが向いていると見落としてしまうような看板しかない。
小さい案内板。 |
秋の嵐山というと、人でごった返していて、ワイワイ、ガヤガヤした場所だろうと思いがちだが、それは渡月橋の周辺だけ。あの辺りは、確かに人は多いし、クルマの通行量も多い。いかにも観光地という雰囲気がプンプンしている。
しかし、嵐山の北、北嵯峨地域まで来ると、ここが観光地だとは思えないほどの雰囲気に変わる。田んぼが広がっていて、民家がポツンポツンとある程度。京都はこういう風情が本来の姿なのだと思う。ガチャガチャした感じは大阪などの都市部に任せておいていい。
人通りが少ない道。 |
田んぼが多い。 |
到着したのは13時5分。中に入ると、すぐにモミジだらけの景色が広がる。直指庵のウェブサイトにも写真が数枚あるけれども、実際に現地に行って見ると、これでもかと言うほどのモミジの嵐で、木にも地面にも、数えきれないほどのモミジが密集していた。
特に、地面に落ちたモミジが印象に残っていて、まさに絨毯のごとく分厚く敷き詰められた状態。嵐山であれだけのモミジを見れるのは、直指庵だけじゃないか。何度も嵐山には来たことがあるけれども、あれだけ大量のモミジを見れる場所は他に無かった。
入り口。見えている自転車は私が乗ってきた自転車ではない。 |
門構え。 |
地面には苔が育てられていて、苔の緑とモミジの赤が組み合わさって申し分ない風情だった。上ばかり見てモミジの写真ばかり撮っていると、自分の目で見ることを忘れてしまいがち。写真を取ることに夢中になって、自分自身で感じることなく後から写真を眺めるだけでは味気ない。こういう場所に来たら、写真はサッサと撮ってしまい、あとはジックリと雰囲気を感じるために時間を使うといい。
地面はモミジでイッパイ。 |
苔とモミジ。 |
話が脱線するが、京都では、2015年の元旦に雪が降って、直指庵のウェブサイトにも雪景色の写真が掲載されている。クリスマスに雪が降るのもいいが、元旦、新年始めの日に雪が降るのもいい。実際に京都まで行って目で見たかったが、交通機関がマヒしそうだったし、なによりも寒いだろうからヤメておいた。秋の景色は赤さと少しの緑だけれども、元旦の雪の日は白の景色になっていて、これも私好み。
これでもかと言うほどの紅葉。 |
建物の中から庭を見るのもオススメ。私が行ったときには、ちょうどNHKのカメラマンが直指庵のモミジを撮影していて、何かの番組で使うのかもしれない。ただ、撮影と言っても、ロケのように何人もの人が集まって、「はいOK!」、「次は向こうから歩く画を撮るから」みたいなやりとりは無く、スタッフは1人で、大きなビデオカメラで淡々とモミジを撮影していた。
写真を撮りきれないほど良い場所。 |
まったり、ゆったりと時間を過ごしていたが、大覚寺と祇王寺のセット券を買っていたので、まだ祇王寺にも行かないといけない。「大覚寺ー直指庵ー祇王寺」というルートで移動するつもりだったので、祇王寺タイムも考慮しておく必要があった。
建物の中から見た直指庵の庭。 |
あまりに直指庵の居心地が良くて、風情豊かだったものだから、「もう、これで満足かもなぁ、、」、「もう、帰っちゃってもいいんじゃないかなぁ、、」と思いつつも、これで帰ったら何のためにセット券を買ったのか分からなくなるので、祇王寺に行くまではこの散策、散歩、ぶらり旅は続けることにした。