2015年7月27日

2015年の天神祭。蒸し返る熱気と涼しいビル風。



京都の7月は祇園祭。大阪の7月と言えば天神祭というほど大阪では天神祭は有名。もうちょっと涼しい時期に祭りをやればいいと毎年思うのだけれども、祭りといえば夏、夏といえば暑いと連想ゲームが繰り広げられるので、どうしても暑い時期に祭りが開催される。

天神祭に行ったのは、今回で2度目。1回目は、2008年の7月。日程は毎年同じで7月25日。7月の末となると、梅雨も明けて夏が本気を出す頃。今年、2015年の7月25日には、南の海上、ちょうど沖縄付近に台風12号がやってきて、高気圧と台風の影響で本州が猛暑になった。台風が暖かい空気を持ってきて、さらに太平洋高気圧もそれに加勢して、細かい原理は分からないけれども、余計に暑くなっているらしい。

当日の予想最高気温は34℃。京都や関東では35℃や36℃まで予想されていて、もう真夏の最も暑い時期と変わらないぐらい。そんな日に祭りに行くのだから、真夏に激辛トムヤムクンスープをすするようなもので、「暑い時に何でそんな暑い場所に行こうとするのか」と思う人がいてもおかしくない。

18:14 大阪天満宮の北側。もう少し先に進むと、もっと混雑している。





夕方、5時過ぎ、JR東西線に乗って大阪天満宮駅まで行く。電車の中はさほど混んでいる感じではなかったが、浴衣姿の人もおり、天神祭の雰囲気は十分に漂っていた。行きの混雑はまぁまぁで、すし詰めになるほど電車内が混み合っているというほどではなく、思っていたよりは快適だった。

お祭り気分イッパイ。


天神祭に行く方法は色々ある。

1,京橋から歩いて桜宮公園まで行く人。
桜ノ宮駅は混雑しているので、京橋から歩いて桜之宮公園まで行くことができる。時間は15分ぐらいかかるはずで、あえてここで電車を降りて行く人は少ないんじゃないか。でも、京阪電車で京都から来た人は京橋で降りて桜之宮公園に行く可能性はありそうだ。

2,京橋から大阪環状線に乗り換えて桜ノ宮駅まで行き、そこから歩く人。
最寄駅なのだけれども、最も混雑していると思われる駅なので、私はここから天神祭の会場に行ったことは無い。まぁ、行かなくても状況はほぼ想像できるので、この2の方法で行くのはオススメできない。

3,JR東西線に乗って、大阪城北詰駅まで行き、そこから歩く人。
大阪城北詰駅を出る(JR東西線は地下を走るので、「降りる」よりも「出る」という表現のほうが実態に合っている)と、大川の東側、桜之宮公園の南に出ることができる。ここは雑誌でも「比較的空いている」と紹介されるが、桜之宮公園に行くことには変わりないので、空いているという表現にはあたらないはず。

4,大阪天満宮駅までJR東西線に乗り、そこから歩く人。
この方法で今回は天神祭の会場まで行ったが、駅の混雑度はなかなかのもの。電車内はさほど混雑していなかったものの、駅に着くと浴衣姿の人がウヨウヨ。大阪天満宮に行くには3番出口から外に出るが、歩く速度が遅くなるほど人がいた。とはいえ、不快なほど混んでいるという程ではなかったので、電車で行くならば大阪天満宮駅はオススメできる範囲内。

他にも、大阪市営地下鉄や京阪電車を使って来ることができるし、バイクや車で行くことも可能ではある。

18:15 大阪天満宮の中。意外と人は疎ら。

祭りでも人が少ない場所もある。


天神祭は大川一帯、大阪天満宮周辺で実施されるが、東側から見るか、それとも西側から見るかで状況は変わる。地図を見ると、東側には南北に大きな桜之宮公園があり、いかにも広そうな感じがするが、実際は身動きが取れないほど人がイッパイになる。Google Mapを見て「これだけ広ければ余裕だろう」と思って東側へ行く人もいるだろうが、オススメできない。

2008年のときは東側から奉納花火を見たが、観覧するスペースがほとんど無く、人が物凄いし、大川沿いに木が林立していて、奉納花火は見えにくい。人が多いのはある程度予想できるが、木が林立しているところは盲点になる。初めて天神祭に行く人は、大川沿いの木を考慮しておくべきだろう。

交通が規制され、道路が休憩所に。


今回は学習して西側から観ることにした。西側だったら人は少なく快適だろうと予想したが、実際は違っていた。こちらも東側に負けず劣らず人は多いが、あちら側よりはやや快適かと思う。大阪アメニティパーク(OAPとも表記する)タワーの東側がガランと空いているが、ここは人で埋め尽くされる。

ただ、東側と違って、花火を観る場所に夜店がないので、混雑はやや緩和されている感じ。かき氷や焼鳥など、飲食物を提供するお店は大阪天満宮周辺に固まっていて、大川の西側には夜店らしきものは無い。OAPや帝国ホテル大阪が建っている場所だから、美観との兼ね合いであの周辺には夜店が無いのかもしれない。

東側は桜之宮公園の中に夜店があり、それが混雑度に拍車をかけていた。夜店の前には買い物をするためにお客さんが店の前に滞留し、その滞留が人の流れを滞らせ、ドンドンと渋滞していく。ただでさえ人が多いのに、渋滞の原因を増やしているのだから混みあうのは当たり前。

大阪アメニティパークまで歩いて行く。脇道は人が少ない。


こちらの東側も木が多くて、花火の全景を観るのは難しい。もっと川の近くまで行けば花火がよく見えるのだろうけれども、近くに行けば行くほど、それに比例して人も増えるので、どこで妥協するかが肝要。東側はもっと快適だと思っていたが、モワモワとした熱気は東側と同じ。

大阪アメニティパークの前には広場があるが、ここは既に見物客で占拠されていて入れない。階段状になっていて、花火を観るには絶好の場所だが、そういう場所は他の人も好むのですぐにレジャーシートが敷かれる。

OAP前に行く人々。大川の西側も人が多い。


天神祭の話からは逸れるが、OAPレジデンス東棟の近くにdocomoの移動基地局車が停まっていた。

4G対応の基地局車。飛行機が写っているところがいい。


「PREMIUM 4G」に対応した移動基地局車の運用を開始(NTT docomo)

事前に基地局車が来るとは知らず、天神祭が終わってから検索してみると、イベント時に出動して通信状況を改善するとのこと。7月26日以降も、各種の祭りや花火大会に出動するようなので、docomoユーザーの人にとっては有り難い。

夕方18時過ぎには、風が吹いていて、暑い風ではなく、夕暮れの涼しい風で、ムシムシした環境で花火を観るようなことはなかった。台風と高気圧によるダブルパンチで列島各地が猛暑になったのだが、夕方は想像していたよりも涼しかった。ウチワでパタパタと扇ぐ必要もないほどの涼しさ。すぐ近くに帝国ホテル大阪やOAPのビルがあるので、ビル風が吹いていたのかもしれない。

東側で花火を観た時には風らしきものはほとんど吹かず、ウチワでパタパタと扇ぎ続けていたが、西側だとビル風が吹いて快適に過ごせる。この点は西側のメリットだろう。涼しい場所で花火を見たいならば西側だろう。

19:11 大川の西側。光っているのはチキンラーメンの黄色い鳥。

奉納花火を見て、天神祭を見たというのは、やや雑な感じがする。「天神祭に行った」、「天神祭を観た」というと、奉納花火を観たとほぼ同義にされていて、天神祭=花火大会というイメージがある。7月24日、7月25日、2日間を合わせて天神祭なので、奉納花火だけを見たとすれば、天神祭の「てん」だけを見たということになり、「じんまつり」の部分は欠落していると言わざるを得ない。

夜店でイッパイになった商店街の賑やかさ、大阪天満宮に来た人、何か芸をやっている人、大川に浮かぶ船で踊る人、笛を吹き、太鼓を叩く音。それらがまとまって天神祭を構成しているので、奉納花火だけを見ただけでは、天神祭の一部を見たというに過ぎない。



木に邪魔されて花火が見えにくいと考えると不満を感じるが、奉納花火は天神祭の一部だと考え、歩いている最中に木と木の間からチラチラっと花火が見え、音が聴こえる。時折見える程度の方が風情があっていいと思えば、花火が見えにくいのも悪くない。

大衆と違い、メディアは良い場所で撮影している。

5千発の奉納花火、夜空彩る 大阪・天神祭が本宮

 平安中期に始まったとされる大阪天満宮(大阪市北区)の天神祭が25日、本宮を迎え、祭り船が行き交う「船渡御(ふなとぎょ)」が市中心部の大川であった。奉納花火が夜空を彩り、天満宮によると約114万人の見物客が訪れた。
 ちょうちんやのぼりで飾った船約100隻に計約1万2千人が乗り込み、午後6時ごろから約2時間かけて約7キロを往復。かねや太鼓を打ち鳴らす船、落語や文楽を披露する船が水面を行き来した。
 花火は、クラウドファンディング(インターネットで募る寄付)で個人や団体から集めた協賛金が目標の250万円を超え、昨年までより1千発多い5千発が打ち上げられた。
動画では上の方から撮影されていて、見晴らしも良い。花火は北側と南側、2箇所から打ち上がるので、両方の花火を観るには、高いところから観るか、船の上から観る必要がある。木がどうのこうのと言っている場所では片方の花火しか見えない。

大阪天満宮。


私は帝国ホテル大阪のロビーラウンジ ザ・パークの前から奉納花火を観ていた。ガラス張りのオシャレなラウンジで、外の景色も見れる。いかにもそのロビーラウンジから花火を観ていたかのように書いているが、私がいたのは外であって、ラウンジの中ではない。

ここから見えるのは桜之宮公園 北側のメインとなる花火。南側の花火はここからは見えない。音はドンドンと聞こえるが、木に阻まれて見ることはできない。先ほども書いたように、花火がメインではないので、ちょっとぐらい見えなくてもムカついてはいけない。時折、チョロチョロっと見えるのが良いのであって、ど真ん中でドーンと打ち上がるのを見る必要はない。




ここは飛行機が低空で飛行していて、花火が当たるんじゃないかと思えるほど。北西へ飛んでいたので、伊丹空港へ行く飛行機だろうが、花火を見ていると「あぁ、当たっちゃう」と思えるほど飛行機と花火の距離が近い。


大阪天満宮の中。天神祭の開催中でも中には入れる。
JR大阪天満宮駅で降りたので、すぐに向かったのは大阪天満宮。3番出口から歩いてすぐのところは北口で、この日は南に入り口を限定していたようなので、北からは入れない。ということになっていた。「なっていた」というのは一応であって、人によっては流れに逆らって入り込む人もいる。

天満宮の中は、お祭りというよりも盆踊りの雰囲気に近い。踊っている人はいないけれども、獅子舞を披露している人たちはいた。天神祭の本拠地と言ってもいい大阪天満宮だが、25日のメインは奉納花火なので、多くの人は大川沿いに集まっていて、ここには来ていない。

この先で獅子舞が披露されていた。


小さな神社だから、中を散策するには15分もあれば十分。大阪天満宮を出て西に行くと、南北に走る商店街がある。この商店街の活気ときたら、「年末年始のアメ横か?」と思えるほどの人だかりで、食べ物とお酒の匂いが充満している。とてもスイスイと歩けるようなところではなく、人の流れに沿って歩くしかない。そんな場所だ。

満員電車の中をゆっくりと歩いているような気分で、あれほど人が多いところは苦手なので、さっさと天神橋筋の大通りに逃げる。大通りも人は多かったが、まだ自分のペースで歩ける。

これがその商店街の人だかり。大晦日かと思えるほどの盛況ぶり。
今年の奉納花火はクラウドファンディングを利用して資金を集めたようで、4,000発のところを5,000発まで増やして打ち上げたそうな。花火の規模は大きくないものの、人の集まり具合は日本一じゃないかと思う。

花火は19時20分頃から打ち上がり、5,000発の花火をちょっとづつ小出しにして打ち上げていく。1分間ほどドドン、パパンと打ち上げたら、10分ほど休憩、その後、またドドン、パパンと1分間ほど打ち上げる。この繰り返しが奉納花火の特徴。

花火大会だと、一気に、ドンドンと打ち上がるが、天神祭の奉納花火は小出しにするので、花火を目的に来た人は物足りないと感じるはず。「そんなチョロチョロと打ち上げないで、ドンドン発射すればいいじゃないか」と思うが、一気に打ち上げたら5,000発なんであっという間に終わっちゃう。

打ち上げの時間は1時間ぐらいだろうと思い、19時20分から始まったので、20時20分には終わるかと思いきや、10分間隔で打ち上がるものだから、いつ終わるのか分かりにくい。2008年の頃も同じだが、あの花火の小出し感はどうも肌に合わない。前半は本当にチョロチョロとしか打ち上げず、20時30分頃になると、急に打ち上げ数が増え始める。


帰り道。晴れて月が見える。


帰りはどのような手段で帰るか。お祭りや花火大会ではこの点についても考えておかないといけない。特に、電車で来た場合は、来るときは人が分散されているけれども、帰るときは一斉なので、安易に考えると厄介なことになる。

桜ノ宮駅、大阪城北詰駅、京阪電車 天満橋駅、地下鉄 南森町駅、大阪天満宮駅、京橋駅など、鉄道だけでも何種類もの選択肢がある。周辺は23時頃まで交通規制が実施されているため、西側と東側の間を移動するのは面倒。そのため、西側にいる場合は、自ずと大阪天満宮駅か南森町駅、あとは天満橋駅から選ぶことになる。

来るときは大阪天満宮駅を利用したが、「さすがに、大阪天満宮駅は混むだろうから、先の北新地駅から乗れば混まないだろう」と予め考えておいたので、花火を観ていた帝国ホテル大阪の前からJRの北新地駅まで歩くことにした。

その日は、猛暑日ではあったものの、夕方からは涼しく、あの涼しさの中で歩くならば悪く無い。まだ大阪天満宮近くの商店街では人がごった返していて、まだまだ祭りは終わらないかのような雰囲気を出していた。

もう時間は夜の9時を過ぎて、お寿司屋さんも暖簾を店の中にしまっている。北新地駅までは地図を見るとすぐ近くのように感じるが、歩くと遠く感じる。途中、露天神社の前を通った。欧米系の外国人男性が興味を持ったらしく中に入っていったが、私は入らなかった。

夜9時過ぎの北新地駅。天神祭の日とは思えぬ静けさ。



北新地駅から京橋方面に向かって電車に乗ったので、大阪天満宮駅に通ったのだが、意外なほど人が少なかった。ホームから溢れ、ゴッタ返すほど人がいるかと思っていたら拍子抜けした。あれだけ空いているならば、あえて北新地駅まで歩かずとも、大阪天満宮駅から電車に乗れば良かったと後から思えたが、まぁ仕方ない。

北新地駅から京橋行きの電車に乗り、混雑を避けるためにわざわざ北新地駅まで歩いたが、夜9時頃の天満、北新地界隈の雰囲気を感じられたので、これはこれで良い思い出になった。

いかにも大阪らしいデザイン。

北新地駅から出て、大阪天満宮駅、その後は大阪城北詰駅だが、ここは乗り込んでくる人が多かった。雑誌やウェブサイトでは「比較的、人が少ない」と書かれていたが、ウソっぱちだ。桜ノ宮駅は人が多いので、大阪城北詰駅を利用するように薦めているが、実際は、少ないなんてものじゃなく、押し合いへし合いするほど電車に人が流れ込んでくる。

雑誌やウェブサイトは情報源としては有益だけれども、やはりこの手の情報はキチンと自分で現地に行って確認しないといけない。

まだ大阪の天神祭に行ったことが無いならば、行くときは大川の東側ではなく西側をオススメしておく。東側は桜之宮公園ぐらいか人が行くところは無いので、どうしても一箇所に人が集まってしまう。西側ならば、大阪天満宮があるし、商店街(モーレツに混んでいるが)もある。さらに、奉納花火を見る時はOAPや帝国ホテル大阪の近くまで行き、涼しいビル風を肌に感じながら花火を観るといい。