無料のWi-Fiに対する防衛策。
毎月の通信量に上限が設定されるのが当たり前になり、月間の通信枠を意識してWi-Fiを使う人も増えた。自宅にWi-Fiルーターを設置して通信し、外ではコンビニなどのWi-Fiスポットを使う。そうすれば通信量に計上されず、通信制限を避けることができる。Wi-Fiを使うには何らかの契約が必要であることがほとんどだが、中には無料で使えるものもある。ホテル、空港、駅、バス停など、無料でWi-Fiスポットを開放し使えるようにしており、誰でも使えるように設置されていて便利ではある。しかし、この手の無料Wi-Fiは通信が暗号化されておらず危なっかしい。
例えば、京都市のWi-Fiサービスは無料で開放されている。
バス停などで使えるWi-Fiサービスなのだが、セキュリティは設定されておらず、アクセスポイントを選択すればすぐに誰でも使えてしまう。
ノーセキュリティでウェルカム状態。 |
「おっ! Wi-Fiが使える。ラッキー♪」なんて思って接続する人がいるかもしれないが、それは危ない。
タダで使えると分かると、無防備に接続したくなるが、ちょっと待った。
通信会社のWi-Fiサービスは暗号化されているが、公共のWi-Fiサービスは京都市のWi-Fiのようにパッカーンとアクセスポイントを開放しているタイプが多い。
空港に行けば、ほぼWi-Fi用のアクセスポイントが用意されている。関西空港でも新千歳空港でもWi-Fiサービスがあるが、こちらもセキュリティ無しで開放されている。暗号化されていないアクセスポイントに接続すると、通信を傍受される可能性があり、何らかの防衛策が必要になる。
岐阜でもWi-Fiサービスが始まり、これからドンドンと無料のアクセスポイントが増えていく。
どのサービスを使うか。
無料のWi-Fiを使うときはVPN接続というサービスを使う。VPN接続というのは、詳しくは検索して欲しいが、要するに無線接続する際に専用の通路を作り、他人から覗かれにくくするもの。
VPN接続しているときはマークが表示される。iOSの場合。 |
セキュリティソフトについては知っていても、VPN接続に関してはあまり知らない人の方が多いはず。VPN接続そのものを使っている人は多くないのではないかと思う。
Wi−Fiサービスは安全だと思われているフシがあって、キャリアのWi-Fiは暗号化されているので安全ではあるが、無料で使えるWi-Fiは実は危なっかしい。
京都市のWi-Fiだから安全だろう。空港のWi-Fiだから安心だ。ホテルのWi-Fiは大丈夫だろう。そう思ってしまう気持ちは分かるが、やはりある程度の防衛策は必要だ。つい最近だが、大阪市にもWi-Fiサービスが開始され、大阪市営地下鉄で使えるようになっているが、これもセキュリティ無しのアクセスポイントとなっている。
北海道のルスツリゾートに行った時もWi-Fiを使っていたが、ここのWi-Fiも他と同じように誰でもすぐに使えるようにしているため、暗号化はされていない。
ルスツのWi-Fi。暗号化は無し。 |
鍵付きのアクセスポイントだと宿泊客にパスワードを通知する手間があるので、あえて鍵なしにしている。外国人客も多いので、全員にWi-Fiの使い方を説明していたら大変だ。とはいえ、共用のパスワードを作ってゲストルーム内にある冊子にでも記載しておけばいいだけなので、面倒というほどでもなさそうだが。
さて、ではどのVPNサービスを選ぶべきかが問題となる。色々とあるが、私はF-SECUREのFreedomeをオススメする。理由は3つある。1,簡単に使える。2,リーズナブル。3,転送量に制限がない。
F-Secure Freedome VPN - F-Secure
使いはじめるときに、VPN用の構成ファイルをインストールする必要があるが、案内にしたがって手続きを進めるだけなので難しくない。
接続先は好きな場所から選べる。デフォルトでは日本になっているが、メニューの中にある国ならばどこでもいい。
好きなロケーションを選ぶ。 |
ただし、日本以外に設定すると、利用できなくなるサービスもあるので、その場合は日本に設定を戻して使うといい。以前、GYAO!を使う時に、ロケーションを日本以外に設定していたら、日本国内からしか使えないとのメッセージが表示されたので、ここは適時変更して対応するといい。
SPモードでVPN接続できるか
数年前はSPモード回線でVPN接続できないという不具合があったらしいが、2015年時点ではSPモード契約が付帯した回線であってもVPN接続は可能だ。
docomoのLTE回線でVPN接続できている。 |
1つのライセンスで何台までFreedomeを使えるか
この点についてはF-SECUREのウェブサイトでも詳しく書かれていないが、1つのApple IDに紐つけたiPhoneとiPad、それぞれ1台ずつにFreedomeを設定した。ここまでは何の問題も無く設定できる。端末を追加するときは「購入データを復元」を選択する。 |
ところが、上記2台に加えてさらに1台のiPhoneを加えようとすると、「復元しました」と表示されるものの、Freedomeはオフのままでオンにならない。ということは、1つのアカウントで登録できるiOS端末は2台までと想像できる。
登録できる台数に関する説明は無い。 |
iPhoneを2台、iPadを2台という組み合わせでも可能かもしれないし、何らかの方法で3台以上登録できる可能性もあるかもしれないが、私の場合は2台だった。
Freedomeには買いきりタイプのプリペイドカードのようなものがあるらしい(日本では販売されているところを見たことがない)ので、それを使えば端末を追加できるだろう。ライセンスを購入している場合は、ライセンスコードを使って機器を認証する。App Store経由で利用している場合は、購入データを復元をクリックするだけで認証できる。
さほどたくさんの端末を同時に使うこともないので、iPhoneとiPadを登録できれば十分ではある。
料金は月額300円から。
料金は年間で3,600円。月額換算で300円。毎月支払う月額プランだと月額360円になる。
プランは2つある。 |
ちなみに、通信キャリアはVPNサービスを提供していないので、ユーザーが自分で探してサービスを選ぶ必要がある。本来は通信会社がこのようなサービスをオプションで提供するのが良いのだが、そうなっていない。
Freedomeは転送量に制限はないし、画面真ん中のボタンをタップするだけで使える。
真ん中をタップするだけ。これはVPNがオンになっている状態。 |
iPadやiPhoneなど複数の端末を使っていても、ライセンスはApple IDで紐付けされているので1つで足りる。
安全なだけじゃない。
安全にWi-Fiを使えるのは確かに利点だが、さらに利点がある。その利点とは、ウェブページを読み込む速度が早くなるというもの。
Freedomeにはトラッキングを遮断する機能があり、これによりブラウザーへの負担が減り、ウェブページを早く読み込めるようになる。
「VPN経由だと遅くなるのでは?」というイメージもあるかもしれないが、実際に読み込みは早くなる。
Freedomeでウェブページを読み込む速度が速く。 http://blog.f-secure.jp/archives/50754721.html |
トラッキングの遮断は広告を遮断するAdBlockなどとは違う仕組みであり、広告をブロックするのではなく、トラッキングをブロックする。
安全になって、ページの読み込み速度もアップ。そして料金は月額300円。VPNサービスを探している人にはピッタリなメニューになるはず。