2015年12月12日

2015年、今年最もヒットしたドラマは、孤独のグルメ。


ドラマというと月9だの、木8だのと、曜日と時間の組み合わせで話されることが多いが、私の場合はピンポイントでコレと選ぶことにしている。

最もヒットしたといっても、私の中でという条件付きなので、世間一般のヒットとは違う。月9だからみんなが観ている。大河ドラマだから視聴率が高い。20年前とか30年前ならばテレビが娯楽の王様だったから、皆が同じテレビ番組を見ていた。月曜9時のドラマならば視聴率15%超えは当たり前。日曜日の夜は大河ドラマ。年末の大晦日は家族で紅白歌合戦を観る。紅白の後は、チャンネルを変えずに行く年来る年。

しかし、もうそういう時代ではないようで、皆が好きなように、好きな娯楽を楽しめるようになった。テレビを見ずに、スマホをずっといじくりまわしてもいいし、電子書籍を読んでもいい。電車でプチ旅行も面白そうだし、バスの旅も悪くない。ラジオを聴くにもラジカセなんてもう過去の遺物で、スマホでラジオを聴けてしまう。

余計な話を入れると脱線するのでこれぐらいにしておいて、11月から観始めた孤独のグルメにビビッと来たので書かないではいられない。11月というのは今年のことであって、2012年の11月ではないし、2013年の11月でもない。今年、2015年の11月のこと。


孤独のグルメ





初めて孤独のグルメというアニメ(ドラマか?)を知ったのは、ハッキリとは忘れたが、新幹線(ひかり55号だったか)の中でシューマイをシューッとやっているシーンがネットで紹介されていたのを見た時だと思う。新幹線に乗り込む前に、お店で買ったシューマイ(ジェットという通称の品)を新幹線に持ち込み、パッケージのフィルムを引っ張ると、蒸気でシューマイが温まるというシーン。

紐を引っ張ると温まるおでんを、昔ビジネスホテル内の自動販売機で発見したことがある。確か値段は1,000円。自動販売機でおでんを売るなんて珍妙な感じだが、紐を引っ張って温める仕組みにはすごく興味を覚えた。おでんを温めるというと、鍋に入れて、ガス火でグツグツと煮るのが当たり前だと思っていたので、紐を引っ張って温めるなんて、「どういう仕組なんだ?」と珍しかった。

じゃあ、そのおでんを買ったのかというと、買わなかった。ホテル内で夕食を食べた後だったし、おでんを食べたい気分でもなかったし、おでんで1,000円なんていうのも納得できなかったので、ヤメておいた。ただ、紐は引っ張ってみたかった。


孤独のグルメ (扶桑社文庫)


ひかり55号でのシューマイのエピソードは本に掲載されているので、興味のある方は読んでみるといい。文庫版と新装版があり、内容は同じなのでどちらを選択しても読める。新装版の方が大きくて読みやすいらしいが、私は小さい文庫版の方を読んだ。文庫サイズで漫画を読むのは久しぶりだが、若干小ささは感じるものの、読めないほどじゃない。


主人公の井之頭五郎がモチャモチャと色々考えながら食事をする。これが孤独のグルメなのだが、中年のオジサンが食事をするなんて大して面白く無いように思えるが、実際に漫画を読むかドラマを観れば、その魅力が分かる。

2015年11月の時点では、すでに孤独のグルメはSeason 5に突入していて、Season 4まではもう過去のコンテンツになっている。Season 5がテレビで放送中だとは知らずに、第8話目までの放送を見逃してしまったが、9話以降は確実にチェックしている。


孤独のグルメ DVD-BOX

ありがたいことに、今はビデオ見放題サービスが隆盛を極めており、au ビデオパスでは孤独のグルメのSeason 1からSeason 4まで、合計48話を全て視聴できる。1シーズンあたり12話なので、4シーズンだと合わせて48話になる。



漫画でしか読めないと思っていたが、検索するとドラマでも放送されており、漫画でもいいが、ドラマで観れるならそれもいい。au ビデオパスを利用していたので、「無いかもしれないが、一応検索してみようか」と考え、孤独のグルメを検索したら、チャンと用意されている。しかもSeason 1から4まで。

早速、全てのSeasonをお気に入りに登録し、Season 1から順番に観始めた。

孤独のグルメは深夜食堂と雰囲気というか空気感というものが似ている。深夜食堂というのは、こちらもドラマで、小林薫 主演の深夜番組。夜の12時から開店するめしやを営業し、そこに色々な人が訪れストーリーが作られる。メニューは豚汁ぐらいしか無いのだけれども、食べたいものをリクエストすると「作れるものならば作るよ」と店主が作れるものならば作ってくれる。


映画「深夜食堂」

深夜時間帯に食べ物を扱うのは、孤独のグルメも深夜食堂も同じ。主演が男性というところも同じ。食べ物が中心という点も同じ。孤独のグルメに興味がある人は、Amazonのウェブサイトにアクセスすると、こちらもオススメですというリコメンド機能で深夜食堂のDVDなどを推奨されているはず。逆もしかり。

今年の11月からau ビデオパスで孤独のグルメを見始めたところ、まあハマってしまい、1話ずつ観るどころか、一気に3話、4話と見てしまい、随分と夜更かしした。まさかビデオパスに孤独のグルメが用意されているとは知らず、見つけた時は「おっ! これだ!」と思い、すぐにお気に入りに登録した。

Season 1から4まで用意されていたから、全部で48話。全て見終わるのに、3週間ほどかかった。3週間というと長いように感じるが、3週間でも1日あたり2話は最低でも観ないと追いつかない。ところが、一気に3話、一気に5話なんて日もあって、48話全てを観終わるのにそれほど時間はかからなかった。

ドラマの中で、メニューに番号を付けるお店があったのが記憶に鮮明だ。タイ料理のお店だったか。あれは良いアイデアだと思う。メニューを読み上げるのは、実際にやってみるとなかなか厄介なもの。だし巻き玉子、唐揚げ、豚の生姜焼き定食、これぐらいならばメニュー名をそのまま言葉にしても差し支え無い。しかし、ナントカカントカのナンチャラソース添えみたいなメニューになると、メニュー名の横に9とか14というように番号がついていれば、「9番をください」、「14番を1つ」とカンタンにオーダーできる。ドラマの中のタイ料理店のように、日本人以外の従業員がいるお店ならば、なおさら番号オーダーが便利だろう。

番号経由ならば、客側は注文しやすいし、注文を受けるのも簡単で確実。さらに、オーダーミスも減る。まぁ、番号を使って注文するとやや無機質な感じもあるが、利点の方が多い。


孤独のグルメ2

主人公の井之頭五郎は、ドラマの前半では輸入関連の仕事をする。状況によっては、ケーキやあんみつなどのスイーツで小腹を満たす。きなこパンやタコの足を焼いたものなど買い食いするシーンもある。そして、前半の終わりごろに、「何だか、、、ハラが、、、、、ヘッタ」というセリフが心の声で入り、効果音に合わせてカメラアングルを3回引く。ポン、、ポン、、ポン。というのがいつものパターン。ただ、ときにアングルの4回引きというものもあって、Season1から4まで見て、確か2回だけ4回引きがあった。ポン、、ポン、、ポン、、とここで本来ならば終わるが、ポン、、ポン、、ポン、、ポン、と4回、アングルを引く回もある。

井之頭五郎本人が話す場面は多くなく、基本は心の声で話が進む。「なるほど、そう来たか」、「それもアリだな」、「どこから攻めるか」など、とにかく心の声が多い。

ハラが減ったコールの後は、ひたすら食事処を探し、ここと決めた店の前に来たら、「ここでいい。いや、ここがいい」と自分の判断を強引に肯定する。お酒は飲めないという設定なので、飲み物は烏龍茶が多い。たまにスイーツ系の飲み物を注文するときもある。

主演の松重豊は収録前に絶食しているという話もあるが、ドラマを観ていると、実に美味しそうに食べる。本当にハラが減っていないと、あれだけ美味しそうに食べるのは難しい。おかずを数品、そしてご飯と味噌汁。これが井之頭五郎の基本スタイル。

ご飯、おかず、ご飯、おかずと交互に食べるのではなく、おかずを箸で口に入れると、その後にご飯で3口ぐらい追いかけていく。明らかにご飯超過だけれども、観ていると実に美味しそうな感じが伝わってくる。

食事が進み、番組終了10分前ほどになると、ラッシュモードに切り替わる。BGMもそれまで流れていたものとは変わり、テンポの早いエレキギターで演奏したようなBGMが入る。残った食事を一気に平らげていき、最後に烏龍茶か水を飲み干し、「ごちそうさまでした」と言って終わり。店の暖簾をくぐって、店を出てしばらくするとエンディングに。

仕事、街をブラブラ、買い食い、ハラが減る、アングル3回引き、店探し、食べる、ラッシュ、ごちそうさまでした。この流れがいつものパターン。パターンというか井之頭五郎の人生と言っていいかもしれない。

孤独のグルメの良いところは、1話毎に話が完結しているところ。ドラマというと、全11回とか12回とか、最初から最後までストーリーが繋がっているものというイメージが強いが、孤独のグルメは1回毎に区切りを入れているので見やすい。他のドラマのように何回も延々と続かない。その連続性の無さが見やすさに繋がっていると思う。

単にオジサンが食事をするドラマと捉えると何も面白くなさそうだが、実際にドラマを観れば雰囲気というか空気感を感じ取れるはず。どちらかというと男性向きのドラマなので、女性だとその面白さを理解し難いかもしれないが、女性でもハマれば好きになる人はいるはず。

本で読むことができるし、ドラマで映像を通して観ることもできる。auユーザーならばビデオパスでSeason4まで観れるので、観ていない人はぜひとも観て欲しい。あの素朴な面白さは実際に観た人にしか分からない。



孤独のグルメ Season5 DVD BOX