2014年9月3日

11年ぶりの冷夏。確かに、生ぬるい夏だった。



2014年の夏は11年ぶりに冷夏だった、と気象庁が9月1日に発表した。東日本はいつも通りの暑さだったらしいが、西日本が平年よりも0.3度、平均気温を下回ったようで、冷夏だと発表したらしい。11年前というと、2003年だけれども、冷夏だったっけ? 涼しい夏や寒い夏はなぜか記憶に残りにくくて、2003年が冷夏と言われるほど涼しかった記憶が無い。

だって、11年前の夏のことなんて、覚えていない方が普通だ。2003年なんて、私はまだ大学生だった頃で、夏は狭いアパートの部屋で四苦八苦していた。「世田谷の上北沢にあるアパートで暮らしていた」と言うと、誰しもが「おぉ〜、良いところに住んでるねぇ〜」と反応したけれども、それは思い込みに基づく評価。世田谷と上北沢、この2つのワードだけで評価をすると、確かにクオリティの高い、ハイソ(もはや死語)なアパートに住んでいて、さぞ優雅な大学生活を送っている、そう思うのも無理のないこと。



上北沢というと、下北沢に名称が似ているので、「シモキタの近くなの?」と聞かれることもあったが、地図を見れば一目瞭然で、上北沢と下北沢は全く違う場所にある。上と下だから、北が上北沢で、南が下北沢になり、南北で隣接している場所なんじゃないかと思うかもしれないが、現実は全く違う。

同じ世田谷区ではあるものの、上北沢は北西にあり、下北沢は北東にある。直線距離でも10km弱ほど離れていて、電車で移動すれば、おそらく20分から30分は要するほどの距離になる。だから、本来ならば、京王線の笹塚駅あたりを上北沢と表現する方がシックリくるのだけれども、実際はそうなっていない。不思議だけれども、まぁそういうものだから仕方ない。

2003年、大学生として世田谷区上北沢に住んでいたのだが、アパートは四畳半のワンルーム、風呂なしでトイレは共同。そして、なんと家賃は29,000円。東京のアパートなんて、6万円台でも安いと言われるぐらいだから、30,000円を切る29,000円はなかなかのレアモノだったはず。大学の同級生に話しても、家賃の安さに驚かれることは確実で、話のネタには便利な住まいだった。

2003年のご時世に「そんなアパートがあるの?」と思うかもしれないが、実際に住んでいたのだから、あると答えなければいけないだろう。このアパートには大学1年から4年の卒業まで住んでいたが、住めば慣れるもので、色々と工夫すれば、四畳半のアパートでも暮らせる。

テレビ、収納棚、食器棚、テレビ、電子レンジ、魚焼き器、電気ポット、炊飯器、コタツ、机、冷蔵庫など、現代的な道具はほぼ揃っていたが、足の踏み場も無いほどの部屋ではなかった。自分で言うのもナンだけれども、相当コンパクトに家具を配置していたと思う。

収納棚の上にはテレビがあり、さらにアンテナ線がなかったのでオモチャのようなアンテナを付けていたので、それはテレビの上に置いていた。冷蔵庫の上には電子レンジを置き、さらにその上に魚焼き器も置いて、三段構えにしていた。食器棚の上には、炊飯器と電気ポットが置かれ、その上には洗った食器をおく棚もあった。これだけで、畳1.5畳ぐらいのスペースを使っていたが、これ以上ないほどの効率的な配置だったと思う。

さらに、机やコタツもあったし、ミニコンポもあった。寝るときはコタツを壁に立てかけて、スペースを確保し、そこに布団を敷いて寝る。夏の暑い時期もクーラーは無いので、扇風機が1日中大活躍だった。家にいるときは常に扇風機が動いていて、あの酷使っぷりは他の追随を許さないほどだったはず。

窓は2つあって、角部屋だったので、風通しはパッチリ。29,000円のアパートでも、良いところはある。他にも、周りは閑静な住宅街で、夜は静かで寝やすい環境だった。

余計な話を書くと長くなるが、2003年が冷夏だったと言われても、今だに思い出せない。瑣末なコトを書きながら思い出してみようと目論んだが、全くダメ。冷夏といったって、夏に変わりはないのだから、せいぜい平均気温よりもコンマ4度とかコンマ7度ぐらい低いぐらいで、「涼しい夏だぁ〜」とか「今年の夏は寒いなぁ」と言うほどではなかったはず。

ハッキリと涼しかったのは、1993年の夏。2003年の夏を忘れても、あの年の夏だけは覚えている。肌でシッカリと感じれるほどの寒さで、今年の夏は涼しいとハッキリと言えるほどだった。さらに、冷夏でコメが不作になり、タイ米が日本に輸入されたのが懐かしい。細長いコメで、炊くとパサパサして、そのまま食べると美味しくない。そんなコメを1ヶ月ほど食べ続けたのを思い出す。

タイ米そのものはマズい食べ物ではないけれども、日本式の食べ方には合わないため、食べても美味しくなかった。モチモチ、フワッとしたのが日本のコメの特徴で、食べる方もそれを期待しているため、タイ米と日本米のズレを受け入れがたかった。

ピラフやカレー、パエリア、チャーハンなど、パラパラ米を使うと美味しい料理ならば、タイ米も良いのだけれども、シンプルに炊いて食べるだけだとやはり無理な感じ。


2014年が冷夏だったとしても、体感温度はいつもの夏とそれほど変わることはなかったので、数値に違いはあれども体感に違いはない。そんな夏だったのだろうと思う。