2014年9月6日
いいね!とは思わないけど押される「いいね!」ボタン。
企業の広告や宣伝を見つけ、アクセスすると、facebookのページに誘導されることがある。何かをプレゼントするから、facebookでいいねボタンを押して応募してくださいとか、クーポンをあげるからいいねボタンを押して応募してとか、何らかの人参をぶら下げていいねボタンを押させる販促方法が2−3年前ぐらいから現れた。
fecebookプロモーションと言うらしいが、何かを宣伝したいときにfecebookで、無料で得られるプレゼントやキャンペーンを用意し、ページに誘導させるのがその中身。企業アカウントのページを見れば、どんなものかは分かるけれども、多くは宣伝が主体で、何か興味深いコンテンツが書かれていることは滅多に無い。セール情報、新商品の情報、販売代理店が増えた、在庫が復活したなど、供給者側の情報が主に発信される。
何かを餌にして人を動かすのは、商売の基本戦術であって、このような方法そのものは悪いわけではないし、むしろ積極的に取り組むほうが良いのかもしれない。無料でレトルトカレーをあげるとか、インスタントラーメンをあげるとか、無料でメルマガを読めるとか、ちょっとした情報を無料で提供するとか、コーヒーが無料とか、今では何かを無料で提供してお客さんをおびき寄せるのが当たり前になっていて、むしろそうしないとお客さんを呼べないような環境になっている。
facebookのいいねボタンも、単にいいねボタンを設置しているだけだと、あまり押してもらえない。しかし、いいねボタンを押して、キャンペーンに応募すると、ゲーム機が当たるとか、ケータイの基本料金が永久無料とか、金券がプレゼントされるとか、そういう人参が見えると、良いとは思わなくてもいいねボタンを押す人が出てくる。
いいねボタン機能は、純粋な価値判断でもって良いと感じたときに利用されるのが本来の使い方であって、良いという価値判断なしに使われるとなれば、本来の目的を達することができない。とはいえ、いいねの数がコンテンツの良さを決める要素の1つになっているため、どうしてもいいねボタンのクリック数を増やす動機が生まれやすい。
例えば、今ではあまり見なくなったけれども、かつて繁華街を歩いていると、ポケットティッシュを配っている人がいて、道行く人にドンドンと配っていた。あれはポケットティッシュの袋の中に広告が入っていて、その広告を見せるためにティッシュとセットで配っている。しかし、受け取る人の気持ちは、「おっ! ポケットティッシュだ。もらっとこう」となり、広告に興味があるから受け取ったのではなく、ティッシュが欲しいから受け取ったはず。
もちろん、ティッシュを使うときには、広告が視界に入るだろうから、それなりの効果はあるだろうけれども、広告に興味があるかどうかにかかわらずポケットティッシュが配られているとなると、広告主の損失もバカにならないんじゃないか。
fecebookのいいねボタンも、コンテンツに対して良いという判断をした時にクリックされるのが本来のあり方なのだけれども、キャンペーンやクーポン、無料サービスをチラつかせて、いいねボタンを押させると、コンテンツに対する評価が狂ってしまう。とはいえ、fecebookのLikeボタンのクリック数だけでコンテンツを評価するわけじゃないし、ある程度の水増しもあるのだろうという前提で接すれば、取り立てて何かを言うほどのことでもないのかもしれない。
会社でfecebookページを作っていると、社員に対して「ページにアクセスしていいねをクリックしろ」と言われ、別に見たくもないページを見ていいねボタンを無表情でクリックする。そんなことも起こっているかもしれない。他にも、職場の上司が投稿した内容に対し、部下に「見た後はいいねボタンをクリックしろ」と面白くも見たくもない内容に対しいいねを強要したりなんてこともあり得る。
純粋な興味に基づく評価を集めるようなコンテンツを作り続けるのが最も効果的で、最も時間がかからない方法だということは確からしい。