「YouTubeはなぜ成功したのか」
こんな言葉を見れば、その先の話が知りたくなる。
なぜ成功したのかと言われれば、その答えは人によって様々。いち早く動画サービスを開始したから。投資家が集まってきたから。他社の著作物がドンドンとアップロードされたから。
一口に、これが成功の理由という答えはなく、見方によって答えが変わる。
テレビ vs YouTube ?
YouTubeがあるために、人はテレビを見なくなったと説明される場面は多い。確かに、映像という点ではどちらも同じ。しかし、ネット動画とテレビがトレードオフなのかどうかというと、ある程度はそういう傾向はあるかもしれないけれども、YouTubeがテレビの視聴者を奪っているという見立てはどうも違うように思う。
テレビと動画、映像という点では同じでも、中身はずいぶんと違う。
例えるならば、テレビはチャンと作られている一軒家やマンションであるのに対し、ネット動画はプレハブ小屋みたいなもの。
フォーマルとカジュアル。
スーツとジーンズ。
レストランとラーメン屋。
そんな関係のように私は思える。
つまり、ある程度の代替性はあるかもしれないけれども、どちらも必要。テレビとYouTubeはそんな関係なのかもしれない。
スーツがあればジーンズが要らないわけじゃないし、逆も同様。
YouTubeはサービスを開始したのが2005年で、現在が2014年。現時点でも、YouTubeはテレビのような雰囲気ではなく、テレビとは違う素人っぽさが残ったウェブサイトになっている。
大根は茄子の代わりにはならないし、茄子もまた大根の代わりにはならない。これがテレビとYouTubeの関係なのではないか。
他人の著作物でスタートダッシュ
YouTubeの初期は著作物によって支えられた。こう言っても間違いではないと思う。
テレビ局が制作した映画やドラマ、アニメがドンドンとYouTubeにアップロードされて、視聴される。確かに、2005年や2004年の頃は、YouTubeにテレビ局の映像作品がたくさんあったのは事実で、それを目当てにアクセスしていた人たちも多かったはず。
YouTubeの後には、雨後の竹の子のように動画サイトが登場して、YouTubeで著作物の取り締まりが厳しくなると、その他のサイトへ動画をアップロードする。さらに、そのサイトも取り締まりが厳しくなると、さらに他のサイトへというように、動画サイトが増えるように増えるように人が動いていた。
Youku.comやfc2 Videoは、YouTubeが来た道を歩んでいるように思える。「YouTubeが著作物でアクセスを集めたのだから、ウチのサイトも同じようにアクセスを集めよう」と考えても不思議じゃない。
「アイツがやったんだから、オレもやっていいよな?」というありがちな価値判断。あそこにも無断で駐車している車があるのだから、私もクルマをココに停めてもいいよね。これと同じ理屈。
問い:YouTubeはなぜ成功したのか。
答え:違法コンテンツを受け入れていたから。
こういう答えを出してしまうと、元も子もない。だから、才能のある人が集まって、投資家が資金を提供し、ユーザーが共感してサービスを利用した。そういう説明をせざるを得ないのが現実なのかもしれない。
YouTubeはなぜ成功したのか