2014年3月29日

Windows XPを使い続ける最大の理由は?


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1403/25/news139.html
大阪の企業の46%は「いまだにXPを使っている」──大阪信金調査

Windows XPのサポート終了が4月9日に迫る中、3月上旬の時点で大阪の企業の多くはいまだにXPを使っている──大阪信用金庫の調査でそんな結果が出た。
 調査は3月上旬、同信金の取引先1277社(大阪府内、兵庫県尼崎市内)に対して実施した。XPの利用企業は全体の46.0%(537社)におよび、そのうち53.5%は「今後もこのままXPを使う」と回答したという。
 XPを使い続ける理由のトップは「XPで不自由しない」(64.4%)で、以下「XP対応ソフトを使っている」(19.3%)、「買い替える資金がない」(13.3%)と続いた。

 Windows XPを初めて使ったのは、大学生の頃、2001年か2002年だったと思う。大学のコンピュータールームに設置されているPCにWindows XPが導入されて、それを使っていた。
 大学生の頃は、自分のPCを持っていなくて、大学に設置されているPCをずっと使っていた。学生には1人づつ個別のネットアカウントが付与されて、それを使うとネット接続も自由にできるようになっていて、さらに無料で使えたので重宝した。
 2014年3月の時点では、Windows XPは古いOSとして扱われているけれども、2001年とか2002年の初め頃は最新のOSだった。オシャレなデザインで、アイコンも丸みを帯びてツルンとした感じになり、いかにも新しい感じが溢れていた。
 ネットの閲覧、レジュメのダウンロード、レポートの作成、卒論の作成など、大学時代はずっとWindows XPのお世話になった。起動の遅さは気に入らなかったけれども、自分用のPCを持っていないし、PCを持っていないから当然のごとくADSLなどのISP契約もしていなかったので、他に選択肢は無かった。
 とはいえ、無料で使えるし、印刷も年間で確か1,000枚まで可能だったので、悪い条件ではなかった。




 そんな古き良きWindows XPだけれども、2014年4月9日でMicrosoftからのサポートが終了する。2001年の末頃から使い始めたOSが2014年まで使われてきたのだから、相当な長寿命製品だろう。約13年も同じOSを使い続けるなんて、前代未聞じゃないか。
 2014年3月時点では、最新のWindows 8.1が販売されているけれども、個々に至るまでにはWindows Vista、Windows 7と2つの新しいOSが登場したけれども、それらをスルーして、ずーっとWindows XPを使ってきた人はそろそろ年貢の納め時。
 Windowsのソフトは価格が高いというイメージがあり、実際にWindows 7までは大体3万円から5万円ぐらいの価格だった。そのため、個人でPCを使っている人には、「あえて新しいOSを買わなくても、XPのままでいいじゃないか」という気持ちになりがちだった。それで実際にXPを使い続けても何の問題もないものだから、なおさら新しいWindowsに変える気持ちになれない。そういう人は多かったはず。


 大阪の企業の46%が未だにWindows XPを使っているらしいが、おそらく大半の企業はPCが壊れるまでWindows XPを使い続けるはず。「セキュリティ的に危ないよ」と言われても、おそらく会社で使っているPCには今後もWindows XPが残っていくはず。
 なぜセキュアではないOSを使い続けるのかというと、OSを切り替える費用がネックという点もあるけれども、最大の理由は業務用のソフトが動かなくなる可能性なのではないかと思う。
 業務ではWindows PCが使われており、さらにそのPC上で業務で使う専用のソフトが動いていて、OSをWindows 7や8.1に切り替えたとして、もし業務ソフトが動かなくなったら一大事になる。
 業務用のソフトというのは、業界ごとに専用ソフトとして開発されていて、医療機関には医療業務専用のソフト、外食企業には外食専用のソフト、小売には小売専用のソフト、流通企業には流通オペレーションを支えるソフトというように、業務に密着したソフトが使われている。
 そして、そういうソフトは長年に亘ってWindows XP上で動き続けていて、おそらく新しいOSであるWindows 7 や 8.1 には対応していなくて、OSを切り替えてしまうと業務ソフトが動かなくなり、業務がストップしてしまう。だからWindows XPを今後も使い続ける企業が多くなる。
 1つのOSを使い続けると、OSがリニューアルされても同じOSを使い続けないといけなくなる。これを経済学では経路依存性と表現するが、新しいOSへの切り替えが難航するのはまさに経路依存性が原因。
 買い替え費用を理由に挙げる企業もあるのかもしれないが、おそらく金銭的な障害はさほどではないと思う。やはり、最大の障害は、「業務ソフトが動かなくなり、業務がストップしてしまうんじゃないか」という恐怖感ではないか。


 「新しいOSに業務ソフトを対応させればいいじゃないか」そう思うところだけれども、これは業務ソフトを開発している業者が対応しなければいけないので、ソフトを使っている顧客企業ではどうしようもない。
 Windows XPはMicrosoftからのサポートが終了するのでセキュリティ的には危ないのだけれども、会社のPCというのは個人のPCとはちょっと変わっていて、外部のネットワークには接続させず、社内のイントラネットに限定して接続できるように設定されているものもある。
 システム管理者がネットワーク関連の設定をカスタマイズし、このPCは外部接続をOKにして、これは社内のネットワークに限定するというように分けることもできる。
 だから、「社内ネットワーク限定のPCとして使うならば、Windows XPのままでも大丈夫なんじゃないか」という判断もあるのかもしれない。


 Windowsに経路依存させることがMicrosoftの狙いであり、利益の源泉なのだけれども、OSのアップデートの時期になると、今回のような厄介な状況になるのが弱点でもある。