2014年4月26日

SIMフリーかどうか。もう論点が古い。


SIMロック、新興会社が携帯大手に解除要請
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2202H_S4A420C1PP8000/

 中小・新興企業からはドコモやKDDI、ソフトバンクが端末にかけるSIMロックに批判が集まった。携帯は利用者を見分けるSIMカードを端末に挿して通信するが、大手の端末は自社発行のSIMカードにしか反応しないように細工されている。携帯会社を乗り換えるには高価な端末も買い替える必要があるため、乗り換えが起きにくくなる。
 資金力のある大手なら端末を無料にしたり何万円ものキャッシュバックをしたりして他社から利用者を奪えるが、中小や新興企業には難しい。結果的に利用者が大手3社にとどまりやすくなる。
 中小や新興企業は端末にSIMロックをかけておらず、利用者は別の携帯会社に自由に乗り換えられる。中小の格安スマホ会社を抱える日本インターネットプロバイダー協会は「端末は利用者の所有物。SIMロックで特定の通信網に縛り付けるのは権利の侵害だ」と批判した。イー・アクセスのエリック・ガン社長は「海外ではSIMフリーが当たり前。日本はおかしい」と訴えた。

 ケータイにSIMロックをかけるかどうか。この点については、長い間議論が続いているけれども、まだSIMフリーにすべきと主張する人もいるようです。

 日本のケータイはSIMロックされているのが通例で、SIMフリーはあくまで例外と考えられています。SIMロックを解除せよと話が盛り上がったのは、iPhoneが登場した頃。確か2008年か2009年頃で、特定の通信会社のみでしかiPhoneを使えないので、そのSIMロックを解除すべきという話題がネットでポツポツと起こっていました。



 日本ではソフトバンクモバイルがiPhoneを最初に発売し、KDDIがiPhone4Sを2011年に発売するまでiPhoneを使いたい場合はソフトバンクモバイルのiPhoneを使わないといけない状況でした。そのため、いわゆるJailbreakという手法まで用いて他の通信会社で利用できるように試みるユーザーまで出てきて、iPhoneのSIMフリー化は常に話題の的でした。

 ソフトバンクモバイルだけがiPhoneを取り扱っているときは、SIMフリー化を希望する人もそれなりにいましたけれども、2011年にKDDIがiPhoneを扱うようになり、2013年にはNTT docomoもiPhoneを販売し、もうSIMフリー議論は下火になっているように思えます。さらに、AppleストアからSIMフリーのiPhoneが発売されるようにもなりましたから、なおさらSIMロック端末をフリー化する理由は薄れています。

 SIMフリー化を希望する端末はiPhoneとタブレットのiPadが対象であって、その他の無名のスマホをSIMフリー化して欲しいわけではないはずです。魅力がある端末をSIMフリー化して欲しいのであって、得体のしれないスマホをSIMフリー化して欲しいという人は少ないのではないかと思います。

 なぜSIMフリーが進まないかというと、それは消費者にメリットがないからでしょう。携帯会社から2年の利用を約束してケータイを契約すれば、端末は一括0円で手に入り、商品券やお店のポイントが付き、さらに毎月の通信料金も割引される。一方、SIMフリーのスマホは単品で5万円とか7万円で売っており、購入しても特に特典も無い。両者を比較すると、消費者はやはり通信会社から端末と回線をセットにして購入する方を選択するのが合理的です。

 2014年時点では、格安のMVNO回線が販売されていて、この回線とセットでSIMフリー端末を売るお店(ビックカメラ 月額2,830円のスマホセットはイケてる?イオンの月額2,980円スマホはお得なのか?)もありますが、携帯会社が提供する特典を考えると、やはり携帯会社でスマホを契約するほうがお得です。

 どうしてもSIMフリースマホが欲しいならば、検索すれば通販サイトが出てきますし、ネットオークションでも新品のスマホが販売されているので、こういう所で手に入れれば需要は満たせるはずです。

 消費者にメリットがない以上、スマホがSIMフリー化していく流れにはならないでしょうね。